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第8話

場違いな白のゴツい高級車が一台停まっている。 あ、絶対にこいつだ。というと妙な確信があった。 「Hey! At last I was able to meet,honey!」 左側の窓から身を乗り出して、思いっきり手を振っている、ものっすごい笑顔のゴツい白人の男。 間違いなく、数年前に見たことのある顔だった。 「ハニーじゃねぇよ……」 再会して早々呆れさせるとはやってくれる。 そのまま車から降りて来た。タンクトップに短パン、ファッションセンスはない。 近づくなり、俺の体を掴んですり潰すように抱きしめて来た。 「いでででで!やめろっ!苦しいからやめろ!」 ペタペタと腕を叩いたが、効果はない。 「おいハニー、長い間随分つれない態度取ってくれたじゃねぇか、来てくれてありがとう、会えて本当に嬉しいよ」 しまいに頬ずりしてくる。 おっさんがおっさんに抱きしめられて頬ずりされてる現場を、人々は遠巻きに眺めていた。 「いい加減にしろっ!」 無理やり離れて怒りをアピールするものの、陽気なスキンヘッドのイカつい白人には全く響いてない。 「久しぶりの再会じゃないか、そんなカリカリすんなよ!な!」 目尻が下がってだらしない顔してる。イカつさと正反対でギャップが面白いけど。

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