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第37話
それから、彼とマンツーマンのトラウマ克服プログラムが始まった。
彼は俺にキスやハグをする都度に、手を取り、手首にキスを落としてくる。
正直怖くて嫌な気持ちもあって、彼が近づいてくるだけでゲンナリしたけど、いつも本当に軽いキスだったせいで、ろくに抵抗もしなかった。
「大丈夫か?」
彼は必ず尋ねてくる。
大丈夫には大丈夫だけど、そんなに何回もキスしてこなくていいのに、と思う。
って、そんなこと言ったら、1日に一体何回キスハグされてんだって話なんですけどね。
「ねぇ、もういいよ、そんなしなくても大丈夫だって」
一回めんどくさくなって言ったことがあるんだけど
「そう言うなよ、俺もお前の手にキスするの好きなんだから」
適当に流されてしまった。
「兄さん元気ー? バカンス楽しんでる?」
「もうヤられた?大丈夫?」
「ちょっと聞いてよ、俺ついにカノジョできたのー!兄さん日本にいたらめっちゃ自慢したのに!」
たまに後輩からどうでもいいメールが来るけど、ほぼ2人きりの空間で、たまに話ができる第三者と言えば、オネェのシェフ以外いなかった。
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