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第73話

改めて、素肌のまま抱き合った。 腕が回りきらない背中を、優しく撫でる。 彼が首筋に顔を埋めてくる。大きな舌で首筋の下から上まで舐められると、自然とむず痒い声が漏れた。 「ん……」 体をよじる。するともっとやってくる。 耳の裏まで舐められると、腕に鳥肌が立った。 「あ……」 白旗をあげるように、抱きしめていた腕を解いてベッドに預ける。彼が空いた手に指を絡めてくる。手を繋いだ。 開いた脚の間に彼の体を挟んで、全身で彼を感じる。 股間の硬さを内股や俺の股間でも感じて、より一層静かに興奮を増した。 「本当に綺麗な肌をしている。シルクみたいだな」 胸や鎖骨を舐めながら言う。男が言われて嬉しい台詞ではないような。 「そりゃどうも。ありがとう」 けなされたわけじゃないから、お礼は言っておこう。 「本当さ、嘘じゃないぜ」 「別に嘘だなんて思ってないよ」 特別に肌に手をかけてるわけじゃないけど、ガサガサよりは全然マシ。こうして彼が触れている今は、むしろ感謝している。 「あんたが触ってるから、よけい肌艶よくなってるかもな」 ふっと笑うと、つられて笑いながらキスされた。 まったりと触れ合える雰囲気が心地いい。強烈に求め合いたい気持ちがないわけではないけど、ゆっくり、ちゃんと彼と触れ合えることが、何よりも幸せに思えた。

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