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第76話

「誘ってねぇよ」 なんて突っぱねながら言うと、それがツンデレってやつか?なんて言ってくる。 「どこで覚えたんだよ、そんな言葉」 「日本の取引先に教わった」 「随分砕けた取引先だな」 あんまり変なことを教えないで欲しいと思ってしまった。 まぁでも、ツンデレしちゃってるのは間違いないんだけどね。これでも俺にしてはかなり素直なほうだと思ってるんだけど。 「まぁ、素直すぎないほうがお前らしくていい」 ニヤリと笑って、指を絡めたまま、俺の首筋にかぶりついてくる。 「強がってるところがキュートだ」 褒められてんだか何なんだか。 「あっ」 でも、鎖骨から耳の裏まで一気に舐められると、背筋がゾクゾクして、鳥肌が立つほど気持ちいい。 胸の奥から湧き上がる安心感は、その気持ち良さを助長する。 昔から知ってたみたいに。いや、知ってはいたけど、もっと昔から知ってたみたいに、心地よく彼を受け入れる。 首に腕を絡めてしがみつきより密着すると、俺を抱きしめる力がさらに強くなった。 「ちょ、苦しいっ」 「あぁ、すまない」 「加減してくれよー、お前みたいにマッチョじゃないんだからさぁ」 ツンデレ丸出しで怒ると、懲りずに「本当にキュートだ」と鼻の下を伸ばす。 ベタ惚れすぎだろ。まぁ、それは俺もか。

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