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第81話

自分の下半身から、ぬるぬるとした柔らかい音が響く。完全に彼の手の内に翻弄されていることにすら、快感を覚える。 俺、Mだったかなぁ。そのつもりなかったけど、これじゃあ完璧にMだな。まぁ彼に限ってなら、Mでもいい。 「っ、きもち、い」 なんとか呟く。強がらないでちゃんと伝えたい。 四つん這いに起き上がって無理やり振り返ると、唇を離した彼と目があった。 「気持ち良さそうだ、こっちの口も言ってる」 笑って、再びケツの間に顔を埋める。 彼に解されて、すでに自分でもわかるくらいゆるくなってる。 「そこっ、くちじゃ、なぁ」 抵抗する声も震えてて、全然覇気がない。声音も裏返ってて、我ながら気持ち悪い。けど、そんな俺を見て彼は喜ぶ。 「わかったわかった、でもここは俺が入るクチだろ」 「ぅっ、そぉだけど、お」 背筋がゾクゾクする。イくかも。快感が露骨に股間に現れて、彼の手の中でビクビクと震える。 彼も俺の変化を察してか、執拗に弱い先っぽの方を攻めてくる。 「やだっ、あっ!」 一際高い声を上げてしまった。どんなに鳴いても誰も来ないし、彼は攻める手を緩めない。それがより一層俺を大胆にさせる。 彼を誘うように何度も甘ったるい声を上げた。AV女優じゃねぇんだからって思いながらも、声が止められない。 「んんっ、は、ぁ…っ!」 こんなに気持ちいいよ、こんなに感じてるよって、彼に聞かせてやりたい気持ちがそうさせていた。 俺をあれほど拘束していた恐ろしい気持ちが、今は嘘みたいに、何もなかったみたいに解放されている。

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