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第83話
彼の喉が鳴る。
少し体を離して、正面から俺の顔を見た。
「本当に、もう大丈夫か?」
真剣な顔をして。
守ってやるって言った言葉の延長線上にある言葉だろう。
俺の中にはとっくに恐怖心なんて無くて、あるのは彼に対する愛着みたいなものだけ。ここで俺を裏切ったり、傷つけたりするものは何もないんだから。
「大丈夫。それより早くあんたが欲しい」
見つめあったまま、彼のモノを握る。
彼の体が軽く震えた。
軽く擦りながら、そのままゆっくり体を脚の間に沈める。
躊躇いもの無く口に含んで、口腔内で硬度を確かめる。
「おい、やめろ、入れる前に爆発する」
彼が俺の髪を撫でた。言葉の強さの割に、声は穏やかだった。舐められるのも嫌いじゃない証拠だろう。
とはいえ、ここで爆発されては困る。
味と大きさを馴染ませる程度に舐め、口を離した。
「ゴムは?」
上目遣いに尋ねる。
彼は不思議そうな顔をして、そんなものはここにない、と言った。
「へっ?」
変な声が出た。
「ここには今まで俺1人で来てたんだ。そんなの必要なかったからな」
「マジかよ……1個くらいあるだろ」
「いや、ない。本当に持って来てない」
「はぁ……」
かと言って俺も持って来たかと言えば持って来てない。そこまで考えてなかった。
例のスーパーに買いに行くったって、もう夜だし空いてないだろうし、わざわざ買いに行くかって話で。
ちょっと我に返った。生は避けたいんだけどな。
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