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Ⅱ【ローエングリン】 第5話

死が怖いか? 俺は怖い。 怖いから与えるのだ。 お前たちに、死を お前たちだって、与えてきたものだ。 お前たちは無意識に与えてきた。 俺たちは黙って、それを享受するしかなかった。 Ωの運命だと 笑って、嘆いて、震えて、泣いて 拳に爪を立てて 血を流して 地ベタに()して 同じ血を流すなら…… 踏まれて流すより 踏んだ脚を覆してから、死にたい ただ、それだけなんだよ 俺は ここにいるΩたちは、死の恐怖を知っている。 知っていて、お前たちαに死を与える。 痛みを知りながら与え、その痛みに生涯(さいな)まれる。 分かっていて、それでも 戦い続ける 帰る道はない。 俺たちは、待っててくれる家を失ってしまった。 だから、つくるしかないンだ 新時代を 新国家を 死の重みと 生の尊さに耐えられる、新日本国を

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