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Ⅱ【ローエングリン】 第8話

俺たちの戦いの意味はなんだ? 問いかける。 俺たちは誰とだったら、戦いたい? そんな望みは不要だろう。 戦いたいんじゃない。 戦わねばならないのだ。 戦いたいとか、戦いたくないとか ただの我が儘だ。 戦場には敵と味方しかいない。 敵は、選べないんだ。 戦場に立つとは、そういう事だ。 (割り切れ) Enemy(エネミー) か…… Not(ノット) Enemy(エネミー) か…… 簡単な四則計算だ。 差し引き『0』になれば、即ち『死』 敗北すれば、全滅 戦争とは、単純な整数を使った数学の証明に過ぎない。 「割り切れ!アキヒト」 『ウアァアアァァァーッ!!』 柘榴の光が《タンホイザー》の右肩を貫いた。 《憾》の蒼いサーベルが、左腕を薙ぎ斬る。 返す刀が《タンホイザー》の胴を真っ二つに斬り落とした。 激光を噴き上げた《タンホイザー》が失墜する。 赤い爆発を起こして、虚構に消える。 『アアアアァアアー!!』 蒼いビームサーベルがジェネラルを斬る。 貫く。 「それでいい!」 お前を失いたくない。 俺たちには救う手がないのだ。 希望を与える戦争など無いのだから (ニューロンジャマーは使えない) 起動までに時間がかかる。 動きを止められない以上《タンホイザー》は、俺たちを落としにかかる。 攻撃を受け止めていては、いつか落とされる。 「これしか方法がないんだァァーァ!!」 柘榴の翼が光る。 割れた無数の雷光が《タンホイザー》の脳天を貫いた。二つに裂かれた機体が火花を上げて墜落していく。 (どこにいる) 指揮官は! Ω型βを捨て駒にした、αの指揮官はどこだ。 ピィィー レーダーに赤い火が灯った。 敵ジェネラルの接近を知らせるアラートだ。 「………………お前か」 この虐殺を仕掛けた首謀者は! レーダーが示す機影 向かってくる。 こちらに……… (来い) さっさと来いよ。 ツッ アキヒトに通信を入れる。 「終わらせるぞ」 俺の翼で絶望の底に叩き落としてやろう………

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