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Ⅲ【トリスタン】 第8話

「ヤっ」 逃げようとしたけれど、思うように体が動かない。 抵抗にならない抵抗は、呆気なく堅固な腕の中に封じられてしまった。 「薬っ」 抑制剤を飲めば、発情期の症状が落ち着く筈だ。 「ダメだよ、ナツキ」 左手の自由も奪われて、パラパラと抑制剤が機上に飛び散った。 落とした抑制剤は、全部ユキトに取られる。 「こんな状態で抑制剤を飲んだら、もっと苦しむ事になる」 「でもっ」 発情の熱に苛まれた火照る体で、首を振った。 「《トリスタン》がっ」 発情の熱など早く抑制剤で抑えて《トリスタン》の対策を講じなければ。 「《トリスタン》は空母が運んでいる。緊急を要する案件ではあるが、まだ時間がある。 今は《トリスタン》よりも、ナツキの体が優先だ」 「離しませんよ、統帥」 首筋に唇が落ちて、チリっと痛みが走った。 「俺から逃げないでくださいね」 ……痕、付けられた。 熱っぽい体の、アキヒトの口づけた所がもっと熱い。 ハァハァハァ 股間の自身の昂ったモノを握った。 「自分でヤる……から、見るな」 ユキトに撃たれた右腕は、動かそうとすると激痛が走る。 着衣の上から慣れない左手でさするけど。利き手じゃないせいか、焦れったい。 大きくなったソレが、いい反応をしない。 「……俺を煽ってるんですか?」 ねっとり、耳の裏を舐められた。 「俺に任せてくれたら、もっとよくしてあげますよ」 「ァアアー!」 左手に右手を重ねられて。 自分の左手ごと、一気に(しご)かれる。 「イイっ」 自分でするよりもっ。 「アキヒトの手、好きっ」 腰を突き上げる。 セックスの動き、腰がしてる。 「童貞なのに……上手いですよ、統帥♪」 熱い吐息が耳のひだを這って、鼓膜を犯した。 俺………… 「どうなるの?」 「膨らんだ前の雌しべを手と口で良くしてから、トロトロになった後ろの蕾に太い雄しべを挿し入れて掻き回したり、イイトコロを突いて抜き差しします。 とても気持ち良くなりますから、声、我慢せず、いっぱい鳴いてくださいね」 「そん…なっ」 ビュクンっ 興奮した肉棒に血流があふれてドクドクする。 「統帥……少し苦しいかも知れませんが、俺を信じて、ちゃんとヌきましょうね」 激しさを増した手の動きに、腰を振ってしまう。 「ナツキは………」 つぅ……っ、と。 不意に下肢の間に差し込まれた指が、割れ目をなぞった。 「ココに」 クリクリっと、指の腹が窄まりをつつく。 「どっちが欲しいの?」 妖艶なまでに冷たいユキトの微笑みが、俺を魅了する。 「俺の?」 それとも…… 「あいつの?」 グリンと押しつけた指が弧を描く。 「大事な蕾に、好きな雄しべを突き刺してあげるよ」

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