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Ⅲ【トリスタン】 第11話
なに言って?
「発情期のΩの体は、雄を求めるんだ。生殖活動期に入った体の本能だから、ナツキが後ろめたく思う事はない。
俺は、ナツキに辛い思いをさせたくないよ。分かってくれ」
……うなずくよりほかなかった。
切なげに、ユキトに見つめられては。
「偉いよ、ナツキ。聞き分けてくれて、ありがとう」
チュッと頬にご褒美のキスを落とされる。
「ナツキの望む事は全部してあげるから……俺に身を委ねてほしい」
俺の望む事?
………それは
ビュクンっ
昂りが再び熱をもたげた。
「統帥が望むのなら、挿入は控えます。でも……」
背後から。
右手が腹部をなぞった。
「統帥を気持ちよくするの、自信ありますから」
つぅ……っと下ったアキヒトの手を、俺の手が股間に導く。
アァ、大好きなアキヒトの手だぁ。
「激しくしましょうか?それとも、焦らしましょうか?」
「アキヒトの好きにしてぇっ」
「仰せのままに……我が主 」
月の光が瞼を射した。
喘ぐ吐息が霞む雲間に吸い込まれていく。
強弱をつけて、巧みに揉み扱くアキヒトの手に合わせて腰を突き動かす。
「あウっ、出るっ」
寸前でアキヒトが手を弱めてしまう。
俺をイカせてくれるんじゃなかったのか。
ギトギトのミルク、根元までのぼってきてるのに。
もう少しでっ。
欲望を吐き出せる。
俺の体、気持ちよくなれる。
快楽に支配されて……
恥ずかしいお汁、出したい。
白いの、いっぱい外に出したい!
脚の間の膨らみに、ユキトが顔を近づけた。
クン……っと雄汁の臭いを嗅いだ秀麗な相貌は、何もせずに着衣の下の膨張を見つめている。
「……ユキ…ト?」
不安げに瞳を揺らすと。
「見られてるだけで漏れそう?いやらしい雌しべだね、ナツキの」
途端に意識がソコに向いてしまい、ビュクビュク、ドクドク……竿の先っぽが熱を持って下着を漏らしてしまう。
「恥ずかしいっ」
「今更だろ」
からかいを含んだ微笑みの吐息が、フウっと股間の昂りを掠めた。
月が見ている………
羞恥が甦ってきて、俺は懇願する。
「外でするの……イヤ」
「じゃ、コックピット入ろうか。いっぱい可愛がってあげるよ」
ユキトが立ち上がって、 俺を抱いて立ち上がったアキヒトに視線を流す。
「《ローエングリン》の中へ」
「いいのか?敵をコックピットに入れて」
「君は既に《ローエングリン》を操縦している。それに《憾》に入ったら、俺を締め出すんだろう。コックピットは軍事機密だと口実をつけて」
「フーン、分かってるじゃないか」
琥珀の玲瓏がチィっと舌を打った。
「ま、統帥を一番気持ちよくできるのは俺だけど」
「君にナツキを渡す気はないよ」
半月の蔭が落ちた機上
挑む眼に、ブラックダイヤの冷冽な視線が絡んだ。
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