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Ⅲ【トリスタン】 第15話
《トリスタン》投下が刻一刻と迫る……
「空母マルク……」
「《トリスタン》を運ぶ船に、この作戦の指揮官も乗っている」
ユキトの情報だ。
間違いないだろう。
戦争とは情報戦だ。
正確且つ多くの情報を手に入れた者が、勝利する。
ならば。
「この戦い、勝ったも同然だ」
フッと口角を吊り上げた。
「統帥は何を?」
「まぁ、聞け。アキヒト」
《ローエングリン》コックピット
俺の太ももに肘をおいたアキヒトが、視線を上げてのぞき込む。
「はい」
「………」
「統帥?」
「………」
「顔が赤いようですが、大丈夫ですか?」
「体も熱いし、まだ発情期がおさまってないんじゃないか?」
アキヒトの掌が俺の頬を撫でて、背後からぎゅっとユキトが抱きしめる。
俺はコックピットの操縦席に座るユキト……の膝の上に座っている。
「熱があるのなら、もう一度ヌいた方がいい」
「手伝いますよ、統帥」
!!
「ちがうッ」
操縦席……のユキトの膝から立ち上がった俺だが。
よろけてアキヒトに受け止められた挙げ句、ユキトの膝の上に再び戻ってしまう。
……腰に力が入らない。
「無理して立たない方がいいよ、ナツキ」
「そうですよ。統帥、いっぱい腰振りましたから。しばらく立つのは無理です」
!!!
「こんな事になったのも、お前達のせいだろうがァァーッ!!」
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