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Ⅳ【捌里】第12話

……どうなっているッ 俺の体……変だ。 「……ュ…キッィッ」 唇を塞がれた。 息さえ漏らさぬくらい。 熱い口づけを施される。 「……ァァッ」 訴えようとする度、唇が降りてくる。 何度も、何度も 何度でも 唇が呼吸を奪う。 (ユキトっ、聞いてくれ!) 肩を掴んだ。 (喉が熱い) 焼けそうなんだ! 肩に爪を立てた。苦しいっ。 助けてくれ、ユキトっ! 爪痕が赤くにじんでも、ユキトは離してくれない。 舌が唇をこじ開けて、口の端から唾液が垂れた。 苦しい…… もう………… 掴んだ肩から、手が滑り落ちた。 ようやく唇が離れて、なのに体が動かない。 シートに横たえた体がだるい。 俺の体なのに、俺の体じゃないみたいだ。 ともすれば瞼が落ちて、二度と開かなくなりそうな……そんな錯覚にさえ襲われる。 …………俺、どうなってしまったんだ。 汗ばんだ手に、手が重なった。 指が絡まる。 この手は? 指を絡めた。 ………この手 (ユキトの、手……) 「良かった……感覚はあるみたいだな」 どういう事だっ! 体を起こそうにも………… 否、そうじゃない! (吐いた息がッ) 声にならない……… 「声帯を麻痺させて、一時的に声を奪った」 首元に唇が触れて、チリリと痛みが走る。 「ここに針を打った。声帯を麻痺させる毒で、今は全身がだるいと思うから。 ……無理に動かない方がいい」 汗ばんだ俺の髪を掻き分けて、視線を落とした彼の目が揺れていた。 「マルクに味方はいない」 全員が敵だ。 「ここまでしなければ信用されない。 俺はΩを捕虜にした。しかし声を出す事のできないΩからは、何も情報が聞き出せなかった」 ……そういう筋書きだ。 「怖くないからな」 逞しい腕の中 俺の体を起こして、包む体温 「怖い思いはさせないよ。ナツキは必ず守るから、心配いらない」 背中をトントン……と叩いてくれる。 俺、ユキトを抱きしめたいのに 重くて腕が上がらない…… まるで人形にでもなってしまったかのような俺を、ユキトが撫でた。 チュッ (ヒァウっ) 突如、体に電流が駆け巡る。 ユキトがっ (ハウんっ) ユキトがまたっ 胸の実を(ついば)んだからっ。 「ナツキは俺の弱みだよ。 大切だから。 この事は、絶対にマルクの連中には知られてはいけない」 マルクに帰還したら、俺はナツキに酷い事をする。 そうしなければならないんだ。 大切だからこそ。 艦内の目を、ナツキから逸らさなければ。 そのためなら…… 「どんな酷い事もする」 だから、ナツキ 「今だけは、優しくさせて」 胸に落とされるキスで、小さな突起をこねられて……アゥん。 喉がのけ反った。 声が出なくて、せわしない呼吸ばかりが、ハァハァ、コックピットに響く。 はしたなくも反応してしまった下腹部のソレ、ユキトの掌が撫でる。 (ヤッ、感づかれてしまった) 「恥ずかしがる事ないよ。こうなってくれないと、ナツキの体をもっと虐めないとならなくなる」 ハッとした時には遅かった。 下着ごと、着衣を引きずり下ろされて。 ピュクンっ 膨らんだ熱が首をもたげて、ビュクビュク腹の上で揺れている。 「ナツキの……すごい。もうベトベト」 (言うなぁッ) 「可愛いのに、いっぱい蜜が出るんだね。……やっぱり《ローエングリン》でしただけじゃ、足りなかったんだ」 そんなんじゃないのにっ。 「ほら……また、先っぽからお汁があふれてきたよ?淫乱な雌しべだ」 指の腹ですくって、ペロリと舐める。 汚ないから、やめて。 口を開いたけれど、麻痺した声帯が発するのは、呼気と吸気の音だけだ。 ハァハァハァっ 呼吸が濡れてくる。 「もしかして、ナツキも舐めてみたいの?」 (……えっ) 「俺には、とっても甘い蜜だけど。ナツキにとっては、どうなのかな?」 勃ち上がった昂りから、先走りの白濁をすくった指を愛しそうに黒瞳が眺める。 「美味しいナツキのミルク、好きなだけナツキも舐めろよ」 指が……… 俺の下唇をなぞった。 口紅みたいに、白濁の粘液を唇に塗りつける。 「俺が飲ませてあげるよ」 赤い舌先が、俺の下唇をペロリと舐めた。 体液まみれの舌が口内に侵入する。 「美味しいだろ。俺の大好きなナツキの味なんだから」 (ヤハアァウぅうーンっ) 大きな手が、そそり立つ熱棒を扱く。 (イクぅっ……イっちゃうゥゥーっ!) 口と手 舌を絡め取られて、犯されて はしたない汁を垂らすベトベト竿をこすられて、クチュクチュ先端の穴を指先でつつかれる。 裏筋を優しく撫でられたかと思ったら、小さく引っ掛かれ、膨張した熱塊が、ドクドク、ビュクビュク、歓喜する。 「俺、優しくしたいのに」 ナツキを見てると……… 「虐めたくなる」 竿を握られたまま、胸の実を摘ままれて、腰が跳ねた。 (ユキトぉ……) 涙目で見上げたブラックダイヤの目が、微笑んでいる。 雄の欲に濡れて…… ………ナツキのΩが、αの俺を狂わせるんだ。

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