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Ⅴ【マルク】第20.5話 (おまけ+)
*《おまけ+》*
-Ich habe eine BItte an Sie, Haruomi!
(お願い、ハルオミ!)-
戦艦マルク 漕底 Ω用粛正独房
目隠しされ、後ろ手に手錠を掛けられた俺は見事に飛んでいった……下半身の着衣を探すうちに、壁に小さな突起物がある事に気づいた。
(ボタンのようだな)
緊急時のコールボタンか。
一定時間おきに看守が見回りに来るとはいっても、独房内の予期せぬ異変までは、見張りだけで対処し切れない。
ナースコールみたいなものか。
(………………押してみよう)
大きな賭けだ。
しかし、賭けなければ!
このままでは埒 が明かない。
俺から仕掛けなければ、俺の下半身は永遠にスッポンポンだ!
自由を奪われた体を傾けて、顎でボタンを押した。
(親切なαに繋がってくれ!)
『Ja, hallo .』
………………
………………
………………
ドイツ語?
(なぜドイツ語なんだァァーッ!)
ここは日本
戦艦マルクだぞォー!!
(ボタンはどこに繋がったんだっ?)
収監管理室ではないのか。
この声………
聞き覚えがある………
『Hier spricht Shiki Haruomi .』
…………………………やっぱり♠
一番繋がって欲しくない相手に繋がってしまった~
『Wie bitte .』
言ったよ、心の中で!
………………
………………
………………
って~~!
しまった~~!
今の俺、喋れない。
声帯がまだ毒で麻痺している。
この状況を、どうやって伝えればいいんだッ?
音声しか繋がらない状態で、声を使わずにッ
しかも相手は、日本国 副総理 シキ ハルオミだ。
『sag mal . Wer bist du ?』
俺だ!
独房の名もなきΩだ。
……つか、いい加減ドイツ語やめろ。
『あぁ、すまないね。ここは日本、戦艦マルクだったよ』
気づくの遅いわ!
『この内線は……19独房。Ω専用だね。……もしかしてナツキかい?』
(なぜっ)
俺の名前を知っている?
『分かるよ。私は君の『運命のα』だからね』
やかましい!
俺は運命を信じない。
運命が立ちはだかるならば、その歯車を粉々に打ち砕くまでだ!
『『運命を信じない。運命が立ちはだかるならば、その歯車を粉々に打ち砕くまでだ』……って思っているのだろ。
分かるよ。私も同じようなものさ。
『この世界に運命は存在しない。運命とは、人生の岐路における選択を重ねた結果の必然的事象だ』……と考えているからね』
お前の考えは別にいいから。
『運命を信じない運命の導きとは、皮肉だな。実に運命を感じるよ』
だからっ!
お前の考えはいいから!
俺は運命を信じてないから!
『『運命を信じない』……正解だね。
ナツキは分かりやすいよ』
あぁ、もうっ。
俺の思考を読むなァーッ!
いや、待て。
(この男、使えるぞ!)
人の心理を読んで、巧みに翻弄し、操る、この男…………
黒の支配者 シキ ハルオミ
お前ならば!
分かるだろう。いま、俺の考えている事が!
(ハルオミ。お前の得意とする深層の読心術 を利用させてもらうぞ……)
さぁ、読め!!
俺の心理を!!
(ズボン、ズボン、ズボン、ズボン~~っ!!)
『ナツキは……ズボンがはきたいのかい』
………かかったな。
お前はもう、俺の策にはまったんだよ。
(………勝った)
俺の勝利だ。
お前は敗者だ、ハルオミ
敗北の苦杯を味わえよ。
そうだ。
苦杯はここにある。
(さっさとズボンをはかせに来い!)
『いいのかい?ナツキ』
どうした?なにを迷う?
お前の為すべきは、俺にズボンをはかせる事だ。
この期に及んで往生際が悪いぞ、シュヴァルツ カイザー
『ユキトから聞いていた通り。ナツキは、はしたない淫乱の子だ』
…………………………は?
ズボンをはくんだぞ。
脱ぐんじゃないぞ。
なぜ、そうなる?
『パンツをはかずに、ズボンをはくなんて。………………変態だ』
…………………………え?
『露出するには、可愛い猥褻物だけど。そういう趣向も変わっていて、いいんじゃないかな?
皮かぶりを見せて、精神的に虐められたいなんて。とんだMな変態淫猥動物だな』
ちちち、ちーっ、ちがァァーうッ!!!
俺は露出狂じゃないィィィーッ!!
変態はお前だァァッ!!ハルオミ!!
『私なら、君の貪欲な性欲が満足するまでいたぶって虐めて、快感を植えつけてあげられる。だから、ナツキ。
………私のΩになるんだよ』
イヤァァァァーッ!!
俺はドMの変態ちゃうわー!
………………つか、何気に…俺の下半身チェックしてたんだな、ハルオミ………
あほかァァァーッ
エロエロ、エッチィィィー!!
副総理のドスケベェェェ~~~!!!
あの弟にして、この兄あり。
……………………αなんか大嫌いッ
(ハゥゥっ)
俺は純粋に、ズボンがはきたいだけなんだっ………グスン♠
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