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Ⅴ【マルク】第26話

「俺のΩになるんだ。騎士はもう必要ない」 嫌だ! そんなのッ! アキヒトを忘れるなんてッ できない! 「何度も言わせるな。俺の言葉はお願いじゃない。命令だ」 ユキトの胸を叩く。 腕の束縛から逃れようとする俺を、ユキトが掴んだ。 きつく…… 熱い体温で閉じ込めて、離さない。 「お前は俺の子供を産むんだぞ。子供の母親が、俺以外の男を想うのを許すと思うか!」 心は要らないと言ったくせに お前は爪を立てて、俺の気持ちを引っ掻く。 ほんの少しだけ、ユキトの心が戻ってきた……のに。 心を求める手を掴めない。 アキヒトを捨てる事なんてできない。 俺を信じてくれる気持ちを踏みつけて許される筈がない。 俺はアキヒトの主君なんだ。 俺への恋慕さえも利用して、アキヒトを騎士に仕立てあげた。 俺は、虚構の主君(あるじ) 嘘をついたから、嘘には誠実で在り続けねばならない。 嘘つきの十字架を抱き、俺はアキヒトに殉教する。 虚構を実像にして…… せめて……アキヒトの心は救わねばならない。 嘘に誠実で在り続けるために そう決めたのに………… ユキト!お前はどうして、俺の気持ちを揺さぶるんだッ 「俺の物にならなくても、あいつにだけは渡さない。 ナツキの心を、一カケラも」 鼓動が波打った。 「心は俺の物にならなくても。 ほかの男の物になる気持ちなら、壊すしかないだろ」 心臓が痛い。 刹那に垣間見たユキトの心が、悲鳴を上げて…… お前の方が壊れてしまいそうじゃないか。 「俺とセックスする事は、そういう事だから……」 ごめんね、ナツキ…… 俺を抱きしめるお前の腕が、震えている。 呼吸の音に合わせて震えている。 お前はどうして、こんなにも…… 傷つき過ぎたんだ、ユキト……… 身をよじった俺は、お前を拒んだんじゃない。 俺の意志を見てくれ。 お前に為されるがままの心じゃないんだ。 お前に(いだ)かれなくても。 自分で歩ける。 しかし。 腕から離れようとした俺を、ユキトはどう受け取ったのか。 「……俺から逃げて、どうする気だ?」 きつく手首を掴まれて、引き上げられた。 頭上で手を一くくりにされ、ユキトの腕に引っ張られて立たされている。 「ナツキはほんと、いい趣味してるよ」 声音が冷酷なαに擦り変わっている。 「根元を縛られて、いきり立つソレをプルプル振って歩きたいなんて。 ミルクを垂れ流すネチョネチョの雌しべを、男共に見せつけたいんだ?」 ちがうっ。 そんなはしたない事っ、考えた事もない。 俺は、身仕度を整えて同行しようとしただけだ! 「ナツキは男だったら誰でもいいもんな? アレさえ付いてたら、興奮してハァハァする節操なしだから。雄を興奮させて、構われたいんだろ?」 鎖骨をかじられる。 パンパンに血管の浮き出た昂りに指を這わされて、息が止まった。 電流のような快感で。 快感の出口がなくて、喉がのけ反った。 「こんなちんけなモノを見せつけられても、興奮しないんだよ」 先っぽを弾かれて、白濁が飛び散る。 「ナツキが立派なのは、皮だけだから。哀れまれるか、笑われるだけだよ」 包皮に隠れた先端を、人差し指がつぅっと撫でた。 「こんなんで興奮するのは、俺くらいのものだよ」 こぼれ出た蜜を、指が鈴口に塗り込める。 悲鳴を上げた腰が震えてしまう。 一度振ってしまうと、腰の動きが止められない。 (ハウぅゥ~) プルンプルン タプタプ 肉棒と玉袋を揺らしてしまう。 「やっぱりナツキ、歩けないじゃないか」 体から重力が消えた。 ユキトの腕の中に、軽々と抱え込まれている。 「部屋まで運ぶよ。俺のΩが自慰なんて、はしたない。(いじ)るのは我慢だぞ」 手があらぬ場所を触らぬように、ユキトの首に回すように促された。 今から俺は、ユキトに抱かれるんだ………

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