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Ⅴ【マルク】第26.5話 後編(おまけ+)

*《おまけ+》* - Ich(イッヒ) liebe(リーベ) dein(ダイン) denken(ダンケン). (お前の思考を愛している) 〔後編〕- 戦艦マルク ここには、まともなαはいないのかッ 『だからナツキ。私を呼んだんだろう』 ……………… ……………… ………………幻聴だ。 俺は、なにも聞こえていない。 『私には、君の思考が手に取るように分かる。戦艦マルクで、君を最も理解するαだよ』 なにか言ったか、ハルオミ。 思考が手に取るように?……どこがッ! 明らかに偏った読み方してるよな。 自己中の読み方してるよな。 最も理解するα?……んな訳ねーだろッ! 『正解だよ、ナツキ。 そうだ、私は戦艦マルクにおける君の理解者ではない。 この日本国において、君の最大の理解者であると断言しよう』 ねぇ、誰? ハルオミを日本国 副総理にしたのは? ……ユキト。お前だけが頼りだよ。 ハルオミに比べたら、お前の方がまだマシだ。 ……天然な分。 肩に担がれた体勢で、きゅっとユキトの首元にしがみついた。 「安心して。ナツキ……」 ペチペチ ユキトの手が、俺の尻を叩いている。 「ナツキのイイトコロは、俺の方が兄上よりも理解しているから」 ………………は? 「淫らなナツキの体の一番の理解者は、俺だよ」 ペチペチ ユキト~~ッ!! お前、ほんっとうに天然だな!! 尻叩くなーッ!! 「ナツキのシュヴァンツ、また大きくなったよ」 この天然ドスケベがァァーッ 言うな! 俺は、萎えたいんだ。 萎えないのが自分でも不思議なんだ。 『ナツキが素直でない分。恥ずかしい性癖は、私とユキトで理解しているから安心するがいいよ』 ハ・ル・オ・ミ~~ 俺は、シルバーリベリオン 我が頭脳をもって、ありとあらゆる戦略を駆使し勝利する戦場の貴公子 全てのΩの崇敬を集め、全てのΩが臣従する、Ω解放軍 統帥だ。 この俺がッ (スッポンポンで尻を叩かれて、しかも、それが俺の性癖だとっ) α如きがなめた真似を。 このような吹聴(ふいちょう)。 屈辱だ。 許さない。 こんな醜態をさらすなんてっ。 ……………………ほんとうに、これは醜態なのか? 現に俺のシュヴァ……アレは萎えていない。 それどころか、ドクドク脈打って健全に成長している。 まさか! ハルオミの言った事は真実なのか。 ハルオミは俺自身さえ気づかぬ、俺の深層心理にまで辿り着いたとでも言うのかッ ……………………これが俺の性癖……なのか? うそだ。 信じない。 これこそ、ハルオミの(はかりごと)に決まってる。 こんな性癖を潜ませる変態な体は、俺じゃない。 (フワぅっ) 「少し赤くなったかな」 大きな掌が尻肉を撫でて、羞恥で息が上がった。 「痛くない?ごめんね」 フウっと息を吹きかけられて…… (ァハア) 生暖かい感触がヌルリと這った。 ユキトの舌だぁ。 「気持ちよくなっちゃったんだね。苦しいだろ?ここでヌく?」 必死で首を横に振る。 ここはマルクの通路だ。いつ誰が来るかも分からない公衆の場で、そんな事しちゃいけない。 「ナツキ、顔が真っ赤だよ。部屋まで我慢できない?」 首を横に振る。 我慢する。苦しくても、我慢するから。 「分かったよ……ヌこうか」 分かってない! どうにかして、ユキトに伝えないとっ。 しかし、俺は声が出ない。 ………そうだ。 指で文字を書こう。 ………『ダメ』 「ナツキ、くすぐったいよ。俺、首の後ろ弱いんだから。早くヌいてあげるから、悪戯しないで」 この天然ー! お前の弱いトコロ聞いとらんわー! クッ、状況が悪化してしまった。 もっと分かりやすく、尚且つ目立つ方法でユキトに伝えなければ。 あるのか? そんな方法が。 だが、俺はシルバーリベリオン 今までだって、絶体絶命の危機的状況を何度も覆してきたじゃないか。 俺には、この頭脳がある。 考えろ…… 考えるんだ。 あるぞ! 一つだけ。 起死回生の逆転の方法が。 実行するしかない。 火急の用件だ。 速やかな対処を要する。 ユキトは、俺のシュヴァ……アレが大好きだ。 だから……… 俺がシュヴァ……アレを動かせば、必ずそこに目が行く。 勝利の条件はそろった! 後は俺が実行に移すのみ。 ユキト、信じているぞ。 お前は気づいてくれる。 見てくれ、ユキト! シュヴァンツで文字を書く!! 腰を振り振り♪ シュヴァンツ、プルンプルン♪ (結構、揺れるな) 上手く書けるかな? プルプルンプル、プルプル、プル~ン、プル♪ ………『ダメ』 (※ちなみに「プルプル」が濁点にあたるぞ) ハァハァハァハァ どうだ、ユキト。 俺の想いは伝わったか? 「子犬のシュヴァンツだ」 『子犬のシュヴァンツだ』 んな感想ええわっ! 二人同時に言うな! 「ナツキ………お汁が漏れそうなんだね」 ……………………はぃ~? 『ユキト、ナツキがシュヴァンツを振るのは気持ちのいい時だったね』 「はい、兄上」 『なにか伝えたかったのかも知れないよ。ナツキ、もう一度振ってみてはくれないか?』 ……………… ……………… ………………絶対ヤだ。 「ナツキ、兄上が見たいって言ってるよ」 見たいのはユキト、お前だよな? 『ナツキ。私は黒の支配者(シュヴァルツ カイザー)だ。必ず君の思考を読み取るから。もう一度、振ってくれないか?』 「ナツキ、兄上を信じて。俺の兄は『シュヴァンツ カイザー』だよ」 『……不正解だよ、ユキト。『シュヴァルツ カイザー』だ』 うるさい! シュヴァルツ カイザーでも、シュヴァンツ カイザーでも大差ないわっ! ………………もう一度、振ればいいんだろ。 これで最後だぞ。 プルプルンプル、プルプル、プル~ン、プル♪ 『分かったよ、ナツキ』 「兄上、ナツキはなんって言ったんですか?」 『………タネ、だよ』 …………………………え? 『仕方のない子だね。私の『種』を欲しがるなんて』 …………………………えぇッ?? ちょっと!プルプルはっ。 濁点付けただろ。 最後は「メ」だ。「メ」と「ネ」じゃ全然、形ちがう。画数すら合ってないぞ! 「ナツキッ、どういう事だよ!俺というαがいながら、兄上に浮気するなんてッ!」 ユキト、落ち着け! 『タネ』じゃない。『ダメ』だ! ハルオミの種じゃない! 「ナツキの孔は、どこまでシュヴァンツ好きなんだよ!」 (アウゥっ) つぷりと、第二関節まで人差し指を突き刺された。 唾液で濡らしてくれたのは、ユキトの優しさか。 グリグリ 「書いて。俺の種、欲しいって。子犬のシュヴァンツ振るんだ」 (いゃあァァ~) 後ろグリグリするのやめてぇ~。 『ナツキは欲張りだね。私達兄弟の種、両方欲しいなんて』 俺ッ、欲しがってないーッ 俺のシュヴァンツ、見て……… ………『ゴカイ』 『『子がほしい』』 ハルオミ! 濁点の場所が違うッ 文字数すら合ってない! ギュウぅぅぅ~ く、くるしい~っ。 「嬉しいよ。子作りしよう。いっぱいナツキに種付けしてあげる」 苦しい~、ユキト~ ゴカイなんだ。 誤解! 俺は、子がほしいとは言ってないーっ。 『待つんだ、ユキト』 ハルオミ! シュヴァルツ カイザーが、やっと目醒めた。 ようやく、ハルオミが初めてまともに俺の思考を読んで、窮地を救ってくれた。 『肝心な事を聞いてないよ』 ハルオミ?……… 無線のランプが青く輝いた。 『ナツキは、どちらの子が欲しいんだい?』 青白いランプが点滅する。 『私の子か、それともユキトの子か』 ……………… ……………… ……………… 沈黙が怖い。 ……………… ……………… ……………… 『私の種と、ユキトの種。好きな子種で種付けしてあげよう』 「どっちなんだ?ナツキ……子犬のシュヴァンツ振って答えて」 『私が思考を読んであげようか?』 子犬のシュヴァンツは、振るためにあるんじゃないーッ! ………………俺のシュヴァ……アレは、子犬じゃないもん。 「どっち?」 『私には思考が丸見えだよ』 お前達はーッ!! 二人して俺に迫るな。 このドエロ、ドスケベ、ド変態兄弟がァァァーッ!!! 運命のαなんか大っ嫌いだァァァ~~♠ ………………早く助けにきてくれ、アキヒト

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