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Ⅴ【マルク】第37話
そこまでして、お前は俺をもてなそうとしてくれているのか!
ユキトお手製 イカスミゼリー
食べない訳にはいかないな。
どれだけ不味くとも!
……しかし、イカスミゼリーを自分で口に運ぶ勇気はない。
「……口、開けているから。ユキトが…口の中に入れてほしい」
ゼリー、ユキトにあーん♪してもらおう。
自分で食べる勇気ないから。
「……いいのか?ナツキ」
「うん。美味しく頂くよ」
ユキトの気持ちのこもった、ユキトの手作りイカスミゼリーだ。
不味くとも、美味しいと思わねば。
美味しいと思い込め!
心頭滅却すれば、ゼリーもまた美味 し!
「俺、すごく嬉しいよ」
ユキトが喜んでくれている。俺も嬉しい。
あーん♪
気恥ずかしいから、目はつぶってよっと。
「………ナツキ」
甘い低音が耳元をくすぐった。
「もうゴム付けちゃったから、今はこれで我慢してね」
………ツン
…………………………えっ
なんだ、これ?
黒くて、おっきくて、存在感のある……
太いソーセージ
夜食、ソーセージだっけ?
ゼリーって言ってたよな?
鼻頭に当たったコレ、なぁに?
長い矛先の根元で、タプンタプン揺れている肉があって……
黒い矛の根元も、黒
………………
………………
………………
ここっ、これーッ
ユキトの毛だァッ!!
フサフサのユキトの陰毛っ
………………じゃあッ
俺の目の前にあるモノって~~
(ユキトの~~~)
雄しべ
なんで、こんなのモノが俺の目の前にあるんだッ
こんなモノで、鼻をツンってされたんだァァッー!!
「俺の大事なトコロを『こんなモノ』は酷いだろ」
心の声がダダ漏れてた★
「でも、だって。ユキトのっ」
図太いソーセージ★
「俺だって、ナツキの可愛い雌しべも玉も食べたのに。ナツキ、お漏らしして腰振ってたろ」
黙れ!
言うな。
口、ヘの字に曲げるな。
可愛い雌しべ呼ばわりされた俺の方が、つむじを曲げたいわ!
俺のは『凶悪な雄しべ』だ!
………待て。
食べる、って………
ゼリーの話、してたんだよな。
「温感ゼリーだから、冷たくなかっただろ。お尻への挿入もスムーズだよ」
ゼリー、って……
ゼリー、って……
それをゼリーと言うのかァァー!!
………じゃあ、黒とかピンクとかって、ゼリーの味じゃなくて~
ゴムの色★
こんどぉーむが色とりどりだなんて、俺っ、知らないしっ。
こんな事、保健体育の教科書には書いてなかったぞ。
おのれっ、保健体育!
「イカスミゼリー、食べられないっ!」
「ナツキ、酷すぎだろ!俺のどこがゼリーなんだ?どこがフニャフニャなんだ?」
やめて、ユキトぉ~
ペチペチ、イヤぁ。
雄しべで、顔叩かないで~
「固いィ~。太いソーセージ、固いからァ~」
「分かった?なら、許してあげる」
………堅固な雄しべが、よしよしと頬を撫でてくれた~ (……🌀)
「……俺っ、シーツを汚しちゃいけないと思って。ゼリーも食べ物だと思って。ニュルニュルをゼリーって言うの知らなくって……」
うぅぅ……
「シーツ汚さないように、雄しべにサランラップ巻くから。ユキト……ごめん」
ガバッ
うぅぅー、くっ、苦しいィ~ッ
ユキトの腕に抱きすくめられている。
「ナツキ、可愛すぎっ♪」
なんで?
俺、変な事言った?
「もう、なんでこんなに可愛いんだよ」
なんで俺が可愛いんだ?
「初めてなんだから、ゼリーって聞いたら食べる方のゼリーになるよね。
シーツは気にしなくていいよ。さっきも、いっぱいミルク出しただろ」
冷たかったか?……と、今更ながら、白いお汁の飛んでいないシーツに、俺の体を寄せてくれる。
さっき出したのは、俺だけじゃない。
ユキトだって、一緒に出しただろッ
シーツが濡れたのは、俺一人だけの責任か。もう~!!
文句を言いたいのだけど、俺を抱きしめる腕の力が強くて、それどころじゃないんだ。
「サランラップの発想は、俺にはできないよ。ゴムの付け方、知らないんだね。初々しすぎだ♪」
ユ~キ~ト~、苦しいから~~っ!
「俺さ、ナツキを怖がらせたくなくて。ナツキは初めてだから、不安で怖いよね。
だから、せめて受精する心配だけは避妊して取り除こうって思ったんだ。
これから、いくらでもセックスできるから。最初くらい」
初めてのナツキに、優しくしたい。
でも………
「優しくできないよ」
チュッ
雄しべがつついた鼻頭に、柔らかな唇が舞い降りた。
唇はすぐさま、獰猛な牙を立てて首筋に赤い花びらを散らし、唇に喰らいつく。
舌が歯を割って、口の中を撫で回す。
乱れる呼吸の狭間で、端の掠れた熱っぽい声が耳朶に触れた。
「……ナツキが欲しくてたまらない」
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