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Ⅴ【マルク】第47.5話 (おまけ+)

《おまけ+》 -〔ピロートーク〕with chocolate - 背中から包んでくれる温もり…… 左腕を腕枕にして。右手がそっと、汗ばんだ髪を撫でた。 俺はユキトの腕の中にいる。 下半身は繋がったままだ。 ユキトが出ていってしまうのは寂しいなぁ……って感じていたから、想いが通じたみたいで、ちょっと嬉しいかも。 すっぽりと、逞しい腕の中に収まっていると、なんだかユキトのものになったみたいだな。 不思議と、悪くない…… 俺がユキトのものになるっていうのも。 こういう気持ちを「満たされている」っていうのかなぁ。 どうしよう。 今まで散々、ユキトの声を聞いたくせに。 ユキトの声が聞きたくて仕方ない。 ……どうしよう。 俺……我が儘してもいい? 「………あのさ」 「……ん?なに?」 トクンっ 髪を()かれながら耳元で囁く声に、鼓動が甘く痺れた。 (どうしようっ) 結構ヤバイ。 ドキドキ こんな事で、心臓が早鐘を打つなんて。 加速する拍動がユキトに知られてしまったら恥ずかしい。 どうか、胸の心音がユキトに伝わりませんように。 「どうしたの、ナツキ?」 そうだ。俺から話しかけたんだから、なんか言わないとっ。 「あ……あのさ、重くない?」 ずっと腕枕してもらってる。 「全然。(むし)ろ心地良い重みかな。こうしてナツキに触れられるし」 耳の後ろの髪を掻き分けて…… チュッ 湿ったあたたかな感触が、耳朶の裏に落ちた。 ………………今のって もしかして、もしかしてっ (ユキトの唇~★) ヒェぇぇーっ!! 事後って、こんな事もされちゃうのっ。 どうしようっ、どうしようっ。 俺、顔が熱い。 たぶん耳まで真っ赤だ。 良かった。向かい合ってなくて。 こんな顔、ユキトに見せられない。 ……………… ……………… ……………… …………………………ハッ もしも向かい合ってたら、顔が見えてるんだよな……… ………………て事は~ しまったー!! 多大なる過ちを、俺は犯してしまった!! ……時、既に遅し 時間は取り戻せない。 どうしてもっと早くに、こんな大事なことに気づかなかったんだよ! ………………セックスは暗くしてやるものなんだ。 なのに、この部屋の照明はどうだ。 思いっきり明るい。 普通に読書ができる。 ………「電気消して」って言うの、忘れた……… 思いっきり読書ができる電灯の下で、セックスしてしまった………うぅ~♠ 「………ナツキ?」 いぶかしげな声音が尋ねてくる。 お前はなにも悪くないよ、ユキト いや……できたら気づいてほしかったな。セックスは暗い所でするものなのだから。 今更言っても遅いよな。 でも、言わないよりはマシだから。一応、言ってみようかな。 「………電気消して」 「なんでっ」 そこは聞くなよっ。 一応まだ、お前は……俺の中にいるわけだし~ 繋がってるという点において、この状態もセックスに分類されるだろう。 「俺は全然気にしてないよ」 「俺が気にするんだ」 「だって《ローエングリン》の中でも見たし」 ……『神に似たる白き魔神(ヴ ァ イ ス ミ ハ エ ル)』の《ローエングリン》? ユキトの愛機がなぜ、ここで出てくるんだ? 「ピンクが理想ではあるけれど」 ピンク? ゴムの色? だが黒を選んだのはユキト、お前だろう。 「俺自身『ナツキはピンクかな』って、思い込んでた節はあるけれど。ピンクじゃなくても気にしないよ。だから、自信持ってね」 俺がピンク? ピンクの物は身に付けていないぞ。 なにしろ今の俺は一糸まとわぬ、生まれたままの無垢な姿だ。 (分からない) 一体ユキトは、なにを言ってるんだ? ……………………ツン 「ハゥっ」 変な声が漏れたのは、ユキトが指先で、胸の先端を弾いたからだ。 「チョコレートも、俺は好きだよ」 「……はい~?」 チョコレート?? お夜食にチョコレートは食べていないが…… ツンツン 「ハゥぅンっ」 ユキトの指が右胸の突起を弾く。 ……………… ……………… ……………… チョコレートって チョコレートって もしかしてー! 「俺の乳首かァァーッ!!」 「ナツキだと、チョコレート色の乳輪も乳頭も可愛いって思えるんだ♪」 ツンツン クニクニ~ 息を飲んで見下ろした。 ユキトの指が弄ぶ胸の実は…… 淡く色づいた桜色………………などとは到底、言い難い。 うるさい! クニクニやめろーッ! 俺だって……俺だって……桜色の時代はあったさ。 だけどな、ユキト 桜は散るんだ。 人はずっと、桜のままではいられないんだよ…… 「ナツキのチョコレートは、ミルクだね。ビターじゃない」 ツンツン 黙れェェェーッ! ツンツンすんなー! ミルクだろうがビターだろうが、チョコレートに変わりないだろうがァッ! 「チョコレート乳首、可愛いよ♪」 「………………♠♠♠」 ユキトのあほ! バカ! 天然! 変態、変態、変態!! αなんか大ッ嫌いだァァー!! ………俺の中から出てけっ。 「冷たくしないで、ナツキ」 フンだっ。 もうユキトなんかとは、口きいてやらん! 「ごめん、チョコレートって言わないから」 当然だ。 反省しろ。 「ナツキの乳首は、ミルクチョコレート乳首だよ♪」 ……………… ……………… ……………… 正式名称で言うなァァーッ!! クニクニ~♪ 「ミルクチョコレート乳首♥愛してる♪」 「ハァぅ~」 ド天然ユキトなんか、 ド天然ユキトなんか、大大大っ嫌いだァァーっ!! ………………ミルクチョコレート乳首じゃないもん。グスン(´;ω;`)

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