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Ⅴ【マルク】第51話

「ねぇ、ナツキ」 「………なに?」 ぶっきらぼうに応えた俺は、悪くない。 「2回戦は、しんどい?」 「………うーん、しんどいというか~」 歯切れの悪い返事だな。我ながら。 ここで俺が『しんどい』と返せば、『じゃあ、おやすみ』ってなるのかな? それは、ちょっと味気なくて嫌だ。 ……我が儘だな、俺。 「……しんどくはないんだけど~」 「じゃあ、体力と性欲的には問題ないと考えていいのかな?」 ………………質問に悪意を感じるな! (どういう意味だっ) 性欲的に……って! 俺に性欲はない! 発情期だって、ずっと薬で抑えてきたんだ。 発情期を知らないこの体は清らかだ。性欲などという、はしたないものがある訳ないではないか! ………………そりゃ、自分を慰めた事がないとは言わないが。 俺も、年頃の健全な男子だし。 しかし! 手慰みは、1日1回だ。 1日に歯みがきする回数よりも少ない。 どうだ? 俺の華麗なる証明は。 歯みがき > 自慰 ……完璧じゃないか。 我ながら惚れ惚れするよ。 非の打ち所のない論理的証明だ。 ユキト お前がどんなに足掻こうとも、この華麗なる「証明」を覆す事は不可能だ。 歯みがき > 自慰 …① ∴ ナツキ ≒ 清純派 …② (従って、ナツキは性欲のない清純な体とほぼ等しい) ①と②より、 ナツキ ≡ シルバーリベリオン (ナツキとシルバーリベリオンは合同である) ………フフ 崩せまい。 ユキトでも。 否。 例え、お前が『神に似たる白き魔神(ヴ ァ イ ス ミ ハ エ ル)』を用いたとしても! 俺の打ち出した完璧な「証明」は崩れないんだよ。 「………それじゃあ、ナツキ」 「なんだ?」 潔く己が敗北を認めるか、ユキト。 そうするしかないよなぁ? ついでに、ミルクチョコレート乳首も取り下げろ!! 己が非礼を悔い、我が前に跪くよりほかに、お前の救われる道はないぞ。ユキト。 「3回戦もあるから、忘れないでね」 「………………は?」 増えた…よな? もう1回戦 「ヨガでも筋トレでも、3セットで1回だろ。セックスも同じだよ」 挿入を3回こなして、1回セックスした事になる。 ……………… ……………… ……………… そうだったんだ……… 知らなかった★ 「最低あと2回、がんばろうね」 「……最低あと2回だな」 「うん。最低あと2回だよ」 「最低あと2回……」 ………………『最低』? 『2回』の前に、不思議な冠詞が付いてるんだけど~?? 「ナツキは絶倫なんだから。2回じゃ足りないだろうから、あり余る性欲のままに、俺を遠慮なく求めるんだよ」 ユ~キ~ト~ッ! 清い俺に性欲はないんだァァッ! 「俺がヤれるのは、あと2回戦だァー!!」 「じゃ、あと2回戦♪愛し合おうね♪」 ……………… ……………… ……………… ユキトと挿入2回の約束しちゃった……… もしかして、俺 ユキトの策にハマった? セックスは3回1セットなのだから、止むを得ない………とは言っても~ (お尻、もつだろうか……) お尻……割れちゃうかもしれない。 ユキト……太いから。 穴がユキトの形になって戻らなくなったら、どうしよう。 俺……ユキトが好きだから。 ユキトの形も好き。 あと2回も挿れられたら、ユキトの形を覚えて、穴が元の形に戻りたがらないかもしれない。 そうなったら大変だ! 俺の穴だけに心配だ。 やっぱり断ろう。 3回1セットだけど、完遂よりも優先すべきは穴だ。 「ユキトっ」 「次は中出しする」 欲に濡れた黒瞳の色香が、心臓を射貫いた。 ドクンッ 左胸の拍動が鳴る。 「『中出し』っていうのは、俺の種をナツキの中に注ぐ事だよ」 ユキトの……… 白いドロドロが、俺の中に入ってくる。 ヒクヒク ピュクピュク 腰が………くねってしまった。 濡れる筈ないのに、後ろの雄穴が脚の間で勃起する男性器みたいに、先走りでネチョネチョになっていくような錯覚に陥る。 俺………興奮している。 お尻の穴を、ユキトの白い雄汁で汚されたい。 種まみれの穴になりたい。 穴で子種を絞りたい。 ………………でも、お前はαだ。 許されない。 「…………………………だめ」 「子供が欲しい」 「でも」 「お前に産んで欲しい。お前以外に産ませたくない!」 …………………………ユキト 「俺………」 脚……開くよ ユキトの子種が欲しい………

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