132 / 288
Ⅴ【マルク】第51話
「ねぇ、ナツキ」
「………なに?」
ぶっきらぼうに応えた俺は、悪くない。
「2回戦は、しんどい?」
「………うーん、しんどいというか~」
歯切れの悪い返事だな。我ながら。
ここで俺が『しんどい』と返せば、『じゃあ、おやすみ』ってなるのかな?
それは、ちょっと味気なくて嫌だ。
……我が儘だな、俺。
「……しんどくはないんだけど~」
「じゃあ、体力と性欲的には問題ないと考えていいのかな?」
………………質問に悪意を感じるな!
(どういう意味だっ)
性欲的に……って!
俺に性欲はない!
発情期だって、ずっと薬で抑えてきたんだ。
発情期を知らないこの体は清らかだ。性欲などという、はしたないものがある訳ないではないか!
………………そりゃ、自分を慰めた事がないとは言わないが。
俺も、年頃の健全な男子だし。
しかし!
手慰みは、1日1回だ。
1日に歯みがきする回数よりも少ない。
どうだ?
俺の華麗なる証明は。
歯みがき > 自慰
……完璧じゃないか。
我ながら惚れ惚れするよ。
非の打ち所のない論理的証明だ。
ユキト
お前がどんなに足掻こうとも、この華麗なる「証明」を覆す事は不可能だ。
歯みがき > 自慰 …①
∴ ナツキ ≒ 清純派 …②
(従って、ナツキは性欲のない清純な体とほぼ等しい)
①と②より、
ナツキ ≡ シルバーリベリオン
(ナツキとシルバーリベリオンは合同である)
………フフ
崩せまい。
ユキトでも。
否。
例え、お前が『神に似たる白き魔神 』を用いたとしても!
俺の打ち出した完璧な「証明」は崩れないんだよ。
「………それじゃあ、ナツキ」
「なんだ?」
潔く己が敗北を認めるか、ユキト。
そうするしかないよなぁ?
ついでに、ミルクチョコレート乳首も取り下げろ!!
己が非礼を悔い、我が前に跪くよりほかに、お前の救われる道はないぞ。ユキト。
「3回戦もあるから、忘れないでね」
「………………は?」
増えた…よな?
もう1回戦
「ヨガでも筋トレでも、3セットで1回だろ。セックスも同じだよ」
挿入を3回こなして、1回セックスした事になる。
………………
………………
………………
そうだったんだ………
知らなかった★
「最低あと2回、がんばろうね」
「……最低あと2回だな」
「うん。最低あと2回だよ」
「最低あと2回……」
………………『最低』?
『2回』の前に、不思議な冠詞が付いてるんだけど~??
「ナツキは絶倫なんだから。2回じゃ足りないだろうから、あり余る性欲のままに、俺を遠慮なく求めるんだよ」
ユ~キ~ト~ッ!
清い俺に性欲はないんだァァッ!
「俺がヤれるのは、あと2回戦だァー!!」
「じゃ、あと2回戦♪愛し合おうね♪」
………………
………………
………………
ユキトと挿入2回の約束しちゃった………
もしかして、俺
ユキトの策にハマった?
セックスは3回1セットなのだから、止むを得ない………とは言っても~
(お尻、もつだろうか……)
お尻……割れちゃうかもしれない。
ユキト……太いから。
穴がユキトの形になって戻らなくなったら、どうしよう。
俺……ユキトが好きだから。
ユキトの形も好き。
あと2回も挿れられたら、ユキトの形を覚えて、穴が元の形に戻りたがらないかもしれない。
そうなったら大変だ!
俺の穴だけに心配だ。
やっぱり断ろう。
3回1セットだけど、完遂よりも優先すべきは穴だ。
「ユキトっ」
「次は中出しする」
欲に濡れた黒瞳の色香が、心臓を射貫いた。
ドクンッ
左胸の拍動が鳴る。
「『中出し』っていうのは、俺の種をナツキの中に注ぐ事だよ」
ユキトの………
白いドロドロが、俺の中に入ってくる。
ヒクヒク
ピュクピュク
腰が………くねってしまった。
濡れる筈ないのに、後ろの雄穴が脚の間で勃起する男性器みたいに、先走りでネチョネチョになっていくような錯覚に陥る。
俺………興奮している。
お尻の穴を、ユキトの白い雄汁で汚されたい。
種まみれの穴になりたい。
穴で子種を絞りたい。
………………でも、お前はαだ。
許されない。
「…………………………だめ」
「子供が欲しい」
「でも」
「お前に産んで欲しい。お前以外に産ませたくない!」
…………………………ユキト
「俺………」
脚……開くよ
ユキトの子種が欲しい………
ともだちにシェアしよう!