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Ⅵ【ファウスト】第18話

「どうする?ナツキ」 黒瞳を寄せてきたユキトに、首を傾いだ。 「きれいなシーツ、汚しちゃう?バスルームなら、後片付け楽だからバレないけど」 「それって、ユキトっ」 声を上げた俺は悪くない。 日常会話のような軽い調子で言うユキトだけど、内容は日常から遥かにかけ離れた背徳だ。 「……本気、か?」 「冗談でナツキを抱かないよ」 俺を大事にしてくれるのは嬉しい…けど。 ここは、ハルオミさんの寝室なんだ。 ……夫の寝室で、夫の弟のユキトに抱かれる…なんて…… 「ぅワッ」 クラリと揺らめいて、気がついたらユキトの腕の中にいた…… ユキトにお姫様抱っこ、されてる。 ほんとうに、ここでユキトに…… ハルオミさんのベッドの上に、体を横たえられて。 隣でユキトが添い寝する。 心臓が破裂しそうだ。 ドキドキ、ドキドキ 「ナツキから手、握ってくれる」 「……うん」 握った手に、手が重なった。 「今はこれで我慢する」 ………………えっ。 「ごめん。少し悪ふざけが過ぎたかな。 ナツキとシたいのは本音だけど。……ナツキ、体を休めないと。昨日から寝てないだろ」 「あっ」 言われて気がついた。 捕虜としてマルクに乗り込んでから、一睡もしていない。 色々ありすぎて…… 寝ないと。 もう明け方だけど。 だけど…… 「どうして?寝ないとダメだよ」 首を振って嫌だと応えた俺を、ユキトが驚いて(いさ)めた。 でも。 「嫌だ。寝ている間にユキトがいなくなったら……怖いから」 「……もう。バカだな」 慈しみが静かに寝室のベッドに響いた。 「いるよ、ずっとそばに。ナツキの寝顔が見たいんだから」 「ユキトの……バカ」 きゅっと手を握った。 お互いバカって呼び合って、俺達なにやってんだよ。 Ω解放軍 統帥シルバーリベリオンと、α-大日本防衛軍のエースパイロット αの稲妻と呼ばれる二人なのに…… 甘すぎる。 俺達が新婚さんみたいだ。 ……って、なに考えてるんだよっ!俺っ。 「ナツキ、顔が真っ赤。疲れてる?それとも恥ずかしいコト考えてた?」 「ちがうっ」 「じゃあ、エロいコトだ」 ………なっ。 「お前と一緒にするなっ」 「酷い。こんなに可愛いナツキを前に、エロいコト考えないなんて男じゃないだろ」 ……やっぱり考えてるんじゃないか。 嬉しい……って、ちょっと感じちゃったけど。 ちょっとだけだぞっ。 「がんばって自制するから、一緒に眠ろっか」 頭の下に腕を潜り込ませて、ユキトが腕枕をしてくれる。 「ナツキに触れていたいから、文句は聞かないよ」 髪を撫でられて…… ユキトはズルい。 こんな事されたら、もっと起きていたい……って。思ってしまう。 なのに意識が微睡(まどろ)んでいく。 瞼が重い…… 眠りに堕ちていく。 「ナツキにいい物持ってきたから、起きたらあげるよ。楽しみにしててね」 …………………………えっ 意識が沈む寸前に、聞こえた声 まさかっ。 本当に持ってきたんじゃないよな??! ………お祝いの品 ………勝負下着~~ …………………………じゃないよな。 ドキドキ、ドキドキ どうしようっ。 「おやすみ、ナツキ♪」 気になって眠れない~★

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