176 / 288
Ⅵ【ファウスト】第35.5話 (おまけ+) 前編
《おまけ+》
- You must not wear this.
〔君 はきたまふことなかれ〕前編 -
………どうしよう。
上は軍服に着替えた。
問題は下だ。
………このまま、はいてしまおうか。
「統帥、なにやってるんですか?」
「……えっ」
「ズボンです」
「ズボンがどうかしたか?」
「脱がないんですか。ズボンはいたままじゃ、ズボンはけないでしょ」
「……あぁ」
作戦は失敗だ。
ズボンの上からズボンをはく。
クッ、いけると思ったのに。
アキヒトの目はごまかせなかった。
ズボンをはくには、ズボンを脱がねばならないのかッ!
だが、俺には……
ズボンを脱げない理由がある。
……………………ビキニパンツ……なのだ。
お尻が紐の………………
そもそも俺は捕虜のΩ
お着替えなんか持ってない。
替えのパンツは、ユキトから借りざるを得なかった。
俺がはいているのは、ユキトの勝負パンツだ。
………………ピッチピチのパープルの紐パン
正確には、ピッチピチではないな。
ユキトのだから。
はき心地は締まっているが、ピッチピチとまではいかない。
ユキトがはくと、ピッチピチになるのだが。俺では~……
べ、別に悲しくないぞ!
体格差だ。
アソコの差じゃない!
「統帥、まだですか」
「あ、あぁ。分かってる」
「早く着替えないと、フェロモンに侵されて統帥を襲っちゃいますよ?」
ここは人の出入りのない密室だったため、外よりもフェロモン濃度が低い。
とはいっても、部屋に入った際にフェロモンも流入している。空気中にフェロモンがない訳ではないのだ。
長く吸えば、βのアキヒトは発情してしまう。
「ガスマスク付けろよ」
「嫌です。付けたらキスできないでしょ!」
………………は?
アキヒトがガスマスクを付けない理由は、それ~★
「さっさと付けろー!」
エロ騎士がァッ
「統帥が着替えたら付けますから」
………………着替え終わるまで、どうしても付けたくないんだな。
「アキヒト、後ろを向いていろ」
「嫌です」
「なぜだ?」
Ω解放軍 統帥の命令だぞ。
「統帥がズボンを後ろ前逆にはかないか、見守っています」
「~~~」
なぁ、アキヒト……
「俺は子供かッ!」
「俺、ロリコンじゃないです。成人男性だから見たいんじゃないですか!」
………本音が出たな。
このエロ騎士がァッ
「あっ、統帥だから見たいのか♪」
どっちでもええわっ!
「男同士なんだから♪いいでしょ。着替えて、着替えて」
お前の『男同士』はほんと、都合いいな?
………俺、脱ぐのか。
せめてっ。
小学校の体育の水泳の時に使った、ゴム付きタオルさえあれば!!
そうだ。
ゴムの入ったタオルだ。
ゴムで止められるから、両手が使えて楽々♪
タオルを巻いて、てるてる坊主状態に変身すれば、タオルが落ちる心配もない。
あのタオルさえあれば、アキヒトに下着を見られる事なく着替えられるものをッ
今の俺は、どんな最新鋭ジェネラルも要らない。
てるてる坊主タオルが欲しい……
小学生の俺よ。今の俺に、てるてる坊主タオルを届けてはくれまいか?
そしたら俺がコーチして、クロールで25m泳げるようにしてやるよ。
安心しろ。
まだお前は25m泳げないが、絶対泳げるようになる!
あの頃の俺は、淡い桜色だったんだよな……
チョコレート乳首と呼ばれるなんて、夢にも思わなかった……
……って★
んな事、どうでもええわっ!
ともだちにシェアしよう!