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Ⅵ【ファウスト】第44話

神聖プロイセン帝国 グライス大使の行方が知れない。 ハルオミさんが耳元で声を潜めた。 仮面の男による東京爆破テロ予告 首都 東京に戒厳令が敷かれ、都民は地下シェルターに避難した。 政府関係者及び、各国大使館・領事館の大使・領事の安否確認を行ったが、プロイセン大使の行方だけが分からない。 彼は事前にテロを知っていた。 東京が火の海に包まれる前に逃げたのである。 「グライス大使は密売人だ」 仮面の男の組織した武力は、グライスから買っている。 反政府組織構成員の裏の顔を持つグライスから密輸したものだ。 「密輸兵器の流れは押さえた。これ以上、仮面の男に兵器が渡る事はない」 さすがはハルオミさんだ。 的確な指示だ。 動きが早い。 「兵器の流れを追ったところ、ある男に行き着いた」 男の名は………… 「テンカワ マコト」 ハッと目を見開いた。 その名前はッ!! 見上げたハルオミさんの双眼の紺碧は、揺るぎない。 「この男が、仮面の男本人もしくは、仮面の男に関わる人間であるのは間違いない」 テンカワ マコト………… アキヒトの父親が、テロを起こした…………

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