203 / 288
Ⅵ【ファウスト】第57話
「俺の嫁に触るなよ、愛人」
「ハ?お前だって、愛人だろう!」
ユキトを睨む琥珀の眼が冷たい。
ブラックダイヤの鋭利な双眼が、アキヒトを睨 めつけている。
バチバチッ
見えるよ……
二人の間で火花が散っているのが、はっきりと。
俺を挟むなーッ!
ユキト、アキヒト
やるんなら、ほかでやれー!
そもそも。原因の一端は俺にあるのかも知れないが、しかし。
まだ俺は、ハルオミさんと正式に離婚していない。
現状どうしようもないんだ。
(……俺、悪女だ)
雄だから悪男。
悪Ωか……
「ナツキハーレムだね」
俺のせいなのかッ★
冷ややかなブラックダイヤの視線が、俺を見据えた。
やめろ!その目っ
じと目で見るな!
「自信がないなら出てけば?愛人。ハーレムだろうが、統帥の一番になる自身、俺にはあるから」
アキヒトっ
ハーレムじゃない!
あと、自信だ、『自信』!
お前の『自身』は、エッチで挿れるやつッ♠
「え、一緒でしょ。俺、統帥が咥えて離さない『自身』になる『自信』ありますよ♪」
ややこしいわーッ!
変な言い方するなーッ!
「とにかく!」
「とにかく!」
ユキト?
「愛人ッ、ナツキは……」
「愛人ッ、統帥は……」
アキヒト?
「お前に渡さない!!」
「お前に渡さない!!」
チュッ♥
チュッ♥
………………なんだ?
この生暖かい感触は?
サラリと揺れた黒髪と、栗色の髪
ふわりといい匂いがして、くすぐったい。
あぁ、二人の髪が俺に触れているからだ……
気づいたら、二人の横顔がすぐ間近にあって……
右の頬に、ユキトの唇が………
左の頬に、アキヒトの唇が………
吸いついている。
チュウッ♥……って~~
俺ェェェェーーッ★
ユキトとアキヒトに、右と左、両側の頬っぺたキスされている~~~!!!
ともだちにシェアしよう!