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Ⅵ【ファウスト】第57.5話 (おまけ+)③
《おまけ+》
- Romantsch hört nicht auf .
〔ロマンチックが止まらない〕③ -
俺は嘘をついた。
日本国 内閣副総理 ハルオミさんは、ブリーフだと……
「兄上……卒業してなかったんだ」
なんだ?この、そこはかとない重苦しい空気は……
「俺、中学で卒業したのに。兄上はまだブリーフ……なんだ」
ユキト。兄がブリーフというのは、そんなにも心に傷を負うものなのか。
「俺……兄上よりも先に卒業してしまったんだね……」
「う、うん」
いいんじゃないかな?
卒業の順番なんて、どっちでも。
ハルオミさんの卒業待ちしてたら、お前もまだブリーフだぞ。
「兄上、アラサーなのに……」
……アラサーブリーフは哀愁あるなぁ……
「パンツ、プレゼントするよ!」
ユキトが拳を握りしめて、使命感に燃えている!
「兄上、いい歳なんだから!今度の誕生日までには、なんとしてもブリーフを卒業してもらわないと。……そうだ」
どうした?ユキト
「俺のビキニパンツやるよ」
………………え★
「ユキトの……ピッチピチ?」
「そう!白だったら違和感なく、はけるよね?」
「……お、おぅ」
気圧 されて、頷いてしまったものの~
違和感ありまくりだろーッ!
ブリーフから、ある日、突然ビキニパンツなんて。
ハルオミさんのジャイアント・キャベンディッシュもビックリだぞ★
ワンクッション挟めよ!
お前のビキニ、お尻が紐だろ。
ハルオミさんが可哀想だ。
………………ん?
……『白だったら違和感なく』~
白だったら??!
同じ色だったら……って事!?
「アラサー白ブリーフ♠……あるまじき姿だ。
俺が兄上をピッチピチ ビキニに更生するよ!」
ハルオミさんが、白ブリーフに確定してるーッ
違うんだ!ユキトッ
ハルオミさんは、とっくに更生してるんだ。たぶん……
ブリーフは、俺がアキヒトに脱がされないための口実で。
ハルオミさんは、白ブリーフはいてない。たぶん……
………………ブリーフ、じゃないよな。たぶん~
巨根白ブリーフ………………
歪んだ凶悪な組み合わせ……
ハルオミさんが好みそうな気もしなくはない……
ハルオミさん、優しいけど意地悪だし。
フェチそうだし。
変態だし。
……ユキトの兄……だもんな~
ユキトが天然ド変態なら、ハルオミさんはマニアック ド変態……な気がするぅ~。
ハルオミさんの巨根白ブリーフ……ありかもしれない♣
あえての勝負パンツだ!!
……うん。
雄の白ブリーフ、ベッドで見たら萎えるけど。
ハルオミさんの白ブリーフなら、萎えない自信あるよ!
「ユキト、ハルオミさん更生計画は中止だ」
「どうしてっ。兄上には白ブリーフを卒業してもらわないとっ。
皮被りのナツキにだって、できたんだ!アラサー兄上にできない筈がない!」
おい!
俺自身を守る包皮と白ブリーフに、どういう関係があるんだッ
俺はもう、ボクサーパンツ派に生まれ変わったんだ。
皮被りは認めよう。
だが、しかし!
白ブリーフは認めん!
ユキト、俺はな……
「白ブリーフは高校で卒業したんだァァーッ!」
「ちょっと遅いね」
……そうなのか。
いいだろ、別に。卒業済みなんだし。
以来、俺は浮気してないぞ。
ボクサーパンツ一筋なんだ。
お前のピッチピチはくまでは、ボクサーパンツだったんだ。
ハルオミさんの気持ちも、分からぬではないんだ。
明日からボクサーパンツをはこうと決めた、白ブリーフ最後の夜。(俺、高校生♪)
寂しかったよ。
ずっと、はいてきた白ブリーフに別れを告げるのは。
もう、お前をはく事はないのかと思うと胸が苦しかった。
明日からボクサーパンツをはくけれど、お前の事は忘れない。
ほどよく締まる股間の感覚を、俺は忘れないよ……
そう語りかけたんだ。
お前の事、嫌いじゃなかったよ……
でも、さよなら
青春の白ブリーフ………ありがとう。
ハルオミさんは、今も青春真っ盛りなんだ。
……少し羨ましい。
「いいじゃないか!アラサー白ブリーフの青春があっても!」
「よくないよッ、アラサー白ブリーフなんてッ!」
ハルオミさん、ごめん。
俺はユキトを止められそうにもない。
(せめて、時間を稼ぐからっ)
白ブリーフとの別れの名残を惜しんでくれ。
あなたの青春と……
ぎゅっ
きつく手を握られた。
左手……だ。
ハッとして見返ると、琥珀が俺の眼差しに絡んだ。
どうして、そんな……
切なげな目をしてるんだ?
まさか、アキヒトッ
…………………………白ブリーフ
「お前もかァァーッ!」
〈切なさは(フー)止まらない〉
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