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Ⅵ【ファウスト】第66話

俺はシルバーリベリオン 策略によって勝利を収める神の手を持つ、戦場の貴公子だ。 α共を震え上がらせる戦場の貴公子が、ジャンヌダルクだと? オルレアンの乙女…… マルクの聖女…… 違う! 戦場の貴公子だ! 勝利の女神ではない! 俺は雄だァァーッ!! 俺は戦場の貴公子 シルバーリベリオン、シルバーリベリオン、シルバーリベリオン…… 『聖女様?』 「通信室ゥゥーッ!」 我慢だ、俺! 高揚した士気を下げるな。 「整備班に無線を繋げっ。確認したい事がある」 『はっ……それでしたら』 「なんだ?」 『整備班所属 ハラダ一等兵であります!』 「お前か。ハラダ一等兵、なぜ通信室にいる」 『はっ。整備班より伝達があり、艦内放送を入れるところでありました』 「それはなんだ?」 『はっ。敵砲撃によりダウンした格納庫ハッチの電気系統は5分後に復旧予定。 あと5分、敵攻撃を凌げば我らの勝利です』 「でかしたぞ!ハラダ一等兵。俺が確かめたかったのも、それだ!」 『はっ』 「ついては、あと3分45秒だ」 『は?』 「3分45秒で電気系統を回復させろ」 『シキ夫人!幾らなんでも無茶でありますっ』 「無茶でもやれ!」 『しかしっ』 「生き残りたければ為せ!3分45秒だ。 マルク砲撃と同時に、全ジェネラル出撃。一気に敵を掃討する。 俺ができるのは時間稼ぎだ。3分45秒後にマルクの砲撃が始まる。その後の砲撃まで、もたせるのは無理だ。 敵は待ってはくれない。敵《タンホイザー》に取りつかれたら、艦は沈むぞ!」 『分かりました!3分45秒後に電気系統を復旧させます』 「よし!……もう一つ」 『なんでありますか?』 「ジャンヌダルク、オルレアンの乙女、マルクの聖女様……それと」 『それと?』 「勝利の女神!以上。俺をこう呼んだ奴を殴っとけ」 『通信室全隊員を殴る事になりますが、よろしいのでありますか?』 「構わん!殴れ」 『自分もシキ夫人を「オルレアンの乙女」と呼んだであります!』 ハラダ一等兵~ッ お前もかァァー! 「自分で自分を殴れーッ!」 『はっ!』 「俺はシキ夫人だァァァー!!」 クッ……あんまり呼んでほしくない、この変な呼称を、自ら名乗るハメになるとは~♠ 『はっ。シキ夫人の鼓舞を全力で受け取るであります!!』 ブァシィーン ハラダ一等兵、よくやった。己が拳を己が頬で受け止めたな。 『全員整列!シキ夫人の鼓舞を全力で受け取れ!』 ブァチィーン ブァコォーン ブァキィーン 『ウォォオオオーッ!!』 『シキ夫人ー!』 『ジャンヌダルクー!』 『オルレアンの乙女ー!』 『聖女様ー♥』 『勝利の女神ー!』 『俺達は生きる!』 『絶対生きる!』 『東京へ帰る!』 『生きるんだ!』 『全員で生き残る!』 『俺達が勝つ!!』 『ウォォオオオーッ!!!』 「当たり前だ!」 α共 「生きるために勝たせてやる。俺について来い!」 『ウォォオオオーッ!!!』

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