249 / 288

Ⅵ【ファウスト】第67話

「通信室。戦況を逐次、シキ一尉に報告せよ。ハッチ解放と同時に、ジェネラル白兵戦はシキ一尉が指揮を取る」 『Alles klar(アレス クラー〈了解〉).』 3分45秒 「守るぞ!」 この225秒を死守する。 「俺がお前達を守ってやる」 『シキ夫人は俺達がお守りします!』 『思う存分、戦ってください!』 『情報通信なら俺達に任せてください!』 『背中は俺達が守ります!』 『シキ夫人には俺達がいます!』 『俺達全員、シキ夫人を信じています!』 『絶対、勝ちましょう!』 『生きましょう!!』 お前達……… 「お前達は強い!お前達は勝つ!お前達は生きる! 勝つのは俺達だ」 操縦桿を握った。 「俺に力を貸せ。勝利を導いてやる」 全員で生き残るぞ!! ウォォオオオーッ!!! 「3分45秒後に会おう」 銀翼が空を駈ける。 「砲撃隊!ガトリング……()ェェーッ! よしっ、そのまま撃ちまくれ。当たらなくていい。 撃ちまくって威嚇しろ。ジェネラルを寄せつけるな。弾幕を張れ」 『Alles klar(アレス クラー〈了解〉).』 勝利への布石は整った。 「ミサイル発射」 機体から射出した弾丸が《タンホイザー》に命中…………否! わずかに軌道が逸れた。 頭部 側頭葉は砕いた。だが…… 黒煙の向こうに光った、ジェネラルの右目 (……モニターが無事だッ) 《タンホイザー》には見えている。 俺の機影が! 「回避ッ!飛んでくれ!」 接近戦になればとられる。 この空域から離脱せねばッ! 風圧が煙幕を吹き飛ばす。 目前に押し迫る偃月(えんげつ)の軌跡 サーベルだ! 光が………散った。

ともだちにシェアしよう!