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Ⅶ【今世神君】第1話
『止まるな!第二部隊出撃!
《タンホイザー》で出ると同時に、ミサイル発射。接近戦にもつれ込むな』
モニターから指揮の怒号が鳴る。
『特攻に怯むな!
テロリストはジェネラルごと突進し相討ちを図ってくる。
君達を守るのはジェネラルだ。
ジェネラルを盾に戦え。
敵が特攻を仕掛けてきたら、緊急脱出装置によって、戦線から即離脱せよ!
防衛戦を展開しつつ、己が命を守る事を念頭において戦え』
蒼い双眼が、爆発の赤い火を映している。
『君達が生きる事で、守れる明日がある』
『Alles klar .』
俺達は明日のために、今日を生きなければならない。
生きるんだ。
「α共、俺が生かしてやる!」
磁気タービュランス発動
大鷲よ、羽ばたけ!
磁力フィールド展開
完全防御空域 出現最大域
「通信室、聞こえるか!」
『はっ、シキ夫人!』
「敵特攻予測域を割り出せ。ゼロ コンマ単位でな。その計算を砲撃隊に送れ」
『Alles klar .』
「砲撃隊、通信室の計算値をもとに《ファウスト》にガトリングを射出せよ。
弾は磁力フィールドによって軌道が曲がる。
味方《タンホイザー》を援護。
お前達がテロリストを撃ち落とせ」
『Alles klar .』
「マルク《タンホイザー》全機、俺から離れろ」
行くぞ………
「撃 ェェーッ!!」
ガトリングの雨が降る。
狙い通りだ。
磁力フィールドで軌道が変わり、飛距離が延びる。
敵の後方、増援部隊まで届く。
装甲を貫かれた敵《タンホイザー》が失墜する。
時間は稼いだ。
あと、もう少し……
もう少し、時間を稼げば……
ユキト
アキヒト
今、出撃すれば敵の自爆テロの的だ。
出撃はまだできない。
お前達の出撃にマルクの命運がかかっている。
(焼津を取らなければ、マルクは沈む)
敵拠点・焼津港の奪還
明日を迎えるために
活路を見出だせ。
俺が自爆テロの注意を引きつけて、焼津までの突破口をつくる。
それしかない。
お前達は真っ直ぐ焼津に飛べ。
ユキト
アキヒト
出撃を見誤るな。
俺を信じて、今は待て。
「砲撃隊、第二射 用意……」
突如、通信が切り替わった。
強制受信だ。
『……生きたいか?死ぬのが恐いか?人の子よ』
音声だけの無線
『なぜ生きたい?なぜ死なない?なぜ悟らない?
うぬらは死ぬために生きているのだよ』
あの声だ。
『神君の国に不要な命は、我が使徒達が摘み取る』
「テンカワ マコトォォォォーッ!」
『俗世の名だ。気安く口にするな、人の子』
「どこに隠れているッ、姿を見せろ!」
『神は人前に姿を見せぬもの也』
「貴様ァァーッ!」
『最後通告である。神に供物を差し出せ。《トリスタン》は人の子には過ぎたる物也』
「テロリストがッ」
通信ランプが点滅した。
『《トリスタン》で、君はなにをする気だい?』
もう一つの声が翻った。
ハルオミさんっ。
『知れた事……革命だ』
『ほぅ、革命かい?』
『混迷の夜を破り、日本が神の国となる夜明けを創造する』
『そこから先は?』
『我、神と共に歩むのだ』
『……全く為ってないよ。国家の未来が描けていない。君のマニフェストには賛同できないね』
『神のいない国に未来はない』
『国家とは国民のものだ』
サファイアが冷冽な光を放った。
『国民のいない未来を求める君に、日本は渡さないよ』
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