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Ⅶ【今世神君】第10話

戦いの果てになにがあるのか? 悪夢の後に、理想があるとは限らない。 だが、それでも。 進むと決めた明日ならば、後悔しない。 なぁ、そういう事だろ。 生きるって。 今日が終われば、当然来るものだと思っていたんだ。 明日って…… テロリストにより、明日が奪われた。 俺達の未来は、テロリストにより抹消されようとしている。 明日を奪い返す。 今日を生きられなかった者達のため、なんておこがましい事は言えないけれど。 もしも、彼らが海の果てで明日を望んでいるならば、俺達が繋ぐよ。 「我が騎士 テンカワ アキヒト」 お前達が生きられなかった今日を、俺達で明日に繋ぐ事が、お前達の意志を未来に生かす事になるんじゃないかな…… 「俺と共に生きろ。 生きて明日を奪還しろ。 俺達の今日を明日に繋げろ。 我が騎士 テンカワ アキヒト、未来を守れ!」 『Yes(イエス), your(ユア) Majesty(マジェスティ).』 曇りない瞳が、俺を見つめた。 『あなたの剣が誓います。必ず守る。俺も、あなたと共に明日を迎えたいから』 お前の願いは、俺の願いだよ…… 「《ローエングリン》を援護して、焼津港砲台を破壊しろ。 俺達の敵は、神を騙る悪の権化 テンカワ マコトだ」 ……お前の父親なんだ。 『情はありません。俺の家族は、統帥だけです』 「……そう…だな」 辛いな、アキヒト。 お前を苦しめた父親が、またお前を苦しめている。 実の父親と戦わせて、俺はお前になにもできない。 それでも言うよ。 「俺は、お前の家族だ」 だから…… 「戦いが終わったら、お前を抱きしめさせてくれ」 こんな事くらいしかできないけれど。 温もりを分かち合おう。 『ありがとうございます。けれど、そういうのって男の役目なので……』 琥珀の双眸が、柔らかな光を帯びた。 『俺が、統帥を抱いていいですか?』 「あぁ。我が騎士、俺を抱いてくれ」 『はい。あふれるまで統帥に種を注ぐので、受け止めてくださいね』 「あぁ。お前の種は、俺が受け………」 …………………………種? 愛じゃなくって、種? 「……お前の愛は、俺が受け止めるよ」 『種ですよ』 アキヒト、愛じゃないのか? 『愛はあります。愛ある種です♪』 「……………種ェェェ~~ッ★!!」 たねって、たねって~~ 『ドロッとした白いやつです』 「それ!」 『統帥が毎晩、右手で搾ってるトロトロ ミルクですよ』 「ギャー♠」 ち、違うっ。 俺の右手は毎晩、そんないかがわしい事は~ 『朝からでしたか♪』 「してない!」 なんだっ、最後の『♪』はっ💢 『これからは、統帥の右手には長期休暇をとって頂きます。俺の濃厚ザーメン♪たっぷり注いであげますね』 「ギャー♠」 『統帥は俺の子だけ産んでください』 アキヒトの「抱く」って、そういう事だったのかーっ! 『男同士なんだから、裸の付き合いしましょ♪』 お前の「男同士」は、いつもいつも都合いいなっ。 「ざざざっ」 『ザーメン』 それ! 「ざーめんっ」 『ぶっかけオプションも付けましょうか♪』 「~~~★」 どこにっ。 ねぇ、アキヒトっ。どこに、ぶっかけるんだ? にっこり♪ 微笑む小悪魔な瞳 ざーめん、どこにだーッ 答えろ、我が騎士!!

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