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Ⅶ【今世神君】第11話
俺の騎士は、小悪魔だ。
「アキヒトっ、俺はっ」
ざっ、ざっ
「ざーめんをっ」
『どこに欲しいか、俺が戻るまでに決めておいてくださいね』
「アキっ」
『ぶっかけのお勧め、戻ったら教えてあげます』
「だからっ、アキヒトっ」
そのっ!
「ざーめん ぶっかけは~っ!」
……うぅっ、恥ずかしいプレイをモロ言ってしまったー♠
『……統帥。ちゃんと覚えててくださいよ』
ふわり
柔らかな蜂蜜色が、瞳の中に俺を閉じ込めている。
『将来、統帥は聞かれるんですよ。
「パパとママはどうやって結ばれたの?」……って。生まれてくる我が子に』
……………………アキヒト
『ちゃんと教えてあげないと。
「パパとママは、騎士と主君で、βとΩで、恋人同士で、結婚の約束して、結婚して夫婦になって、お互いの事が大好きで、愛し合って、お前が生まれたんだって」……
俺達の子供に「お前がママのお腹の中で受精した日の事」、二人で話しましょう』
だからね、統帥。
『今夜、俺の精子で統帥の卵子を受精させますから。今日の事を覚えていてください』
蜂蜜色の瞳で、アキヒトは俺を抱きしめている。
『辛い今日だって、いつか話せる日を迎えるために俺がいます。
俺が今日を癒やします。あなたを守る騎士だから』
クスっと口許が弧を描いた。
『統帥ってば、ポカーンって口開けて可愛いな。もう♪』
「あっ」
慌てて唇を引き締めた。
『驚く事じゃないでしょう。俺は統帥が大好きです。俺の事を統帥に、もっと好きになってほしい。
統帥を愛しているから、心も体も求めます。
子供が欲しいです。統帥に俺の子供、産んで欲しいです』
「アキヒト……」
『……お返事は?』
「えっ?」
アキヒト?
『統帥が「俺の子供を産む」って約束してくれたら、俺、絶対にあなたのもとに帰ってきます。
俺のために、約束してください』
そんなの……
そんなふうに言われたら。
『俺の子供、産んでくれませんか』
確信犯だと分かってても、応えるしかないじゃないか。
「俺、お前の子供を………」
『産むな!』
『許さないよ』
突如、通信ランプが点滅した。
『『ナツキは……』』
俺の……
私の……
『奥さんだ!』
『妻だよ!』
ユキトっ
ハルオミさんっ
モニターの向こうで、チィッと大仰な舌打ちが響いた。
『もうちょっとで、統帥を独り占めできたところを……
愛人邪魔だし、バカップルさっさと離婚すればいいのに』
アキヒト、独り言になってないぞ。
マイクが思いっきり、音声拾ってるぞ。
……わざと声、拾わせてるのか?
あとバカップルという表現だと、俺も含まれるからな💢
『新婚アっツアツ♥ホヤホヤ♥の私達が、離婚する訳ないだろう』
アっツアツ♥ホヤホヤ♥……って~
ハルオミさん、死語です。
『ナツキの「初めて」の相手は俺だ。
ピッチピチ紐パンビキニをおそろではく仲の俺達に、愛人の付け入る余地なんてないんだよ』
ユキトーッ!
なんて事を暴露するんだーッ!
このド天然ーッ!!
『俺が』
『私が』
ナツキの……
『『運命のαだ!!』だよ!!』
『……だから、なに?』
口許が不遜な弧を描いた。
『俺が統帥の「運命のβ」だ』
俺には『運命のα』が二人
『運命のβ』が一人
合わせて三人の運命がいる………
「お前達ィィ~~っ!!!」
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