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第5話

「三国…俺、お前が好きだ」 すると、三国はいつもと変わらない笑顔で「俺も!」と言った。 それはカラッとした笑顔で、江坂は拍子抜けした。しかし、それで気づいたのだ。 驚く様子もなく、焦る様子もなく、嫌悪感を抱いた顔でもない。 そう、それは明らかな友情の好きと思われていると。 嬉しそうに江坂の髪を撫でる三国を複雑な顔で見つめた。 違うと言おうと思ったが、自分との友情を少しも疑っていない三国に、この感情を抱いてしまった自分が三国への裏切りではないかと思ってしまったのだ。 キラキラとした笑顔で見てくる三国に、そんな下心を抱いてしまった自分が汚いと思ってしまった。 急に怖気付き、罪悪感に苛まれた。 それからはその事には触れず、今まで通りを心がけている。うまく出来ているかは分からない。 何気なく三国に触れられるとガチリと体が固くなってしまうので完全に意識しているとバレないかいつもヒヤヒヤしている。 それでも、辞められない癖がある。 寝ている三国にそっと口付けをする事。 あの日の夜を思い出して。 家飲みをした後、決まって先に寝てしまう三国に。 唇が触れるだけの優しいキス。 そして、呟く。 大好きと。 何度も。何度も。 バレて欲しくないと思いながら。 伝われと願いながら。

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