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第8話

家について玄関を閉めるなり二人は固く抱き合って何度も唇を合わせた。 靴を脱ぐ時間も惜しんで何度も何度も。 「んっ…」 「江坂…ヤバい」 「三国…」 「なぁ…瑞希(みずき)って呼んでいい?」 そんな嬉しい申し入れに江坂はこくりと頷いた。 前に一度瑞希と呼ばれたことがあった。その時は驚いて「急になに?気持ち悪っ!」とおどけてしまった。本当は呼んで欲しかったけれど、今更呼び方を変えられたらドキドキして、好きなことがバレでしまうのではないかと危惧したからだ。 「お前も…(ごう)って呼べよ」 うんうんと何度も頷く。今日は夢みたいな事が何度も起こっていて、頭が考える事をやめてしまったようだ。 繰り返される口付けに脳が溶けてしまいそうだ。 「んっ…毅」 「何?瑞希」 「んん…呼んでみただけ」 三国はなんだよと優しい顔で笑って江坂の頭を撫でている。 「なぁ…えっと…その…早いかもしれないけど俺もう我慢出来なさそう」 三国は己の熱くなったそれを江坂の太腿押し当てた。初めて感じる三国の雄の部分に江坂は顔を赤くして「うん」と甘い声で答えて首に抱きついた。 ベッドに乗ると妙に緊張してきて、思わず三国を見た。三国はジャケットを脱いで、ネクタイを緩めている。 「なんか…めっちゃ照れてきた」 「今更?」 「だって…三国とこんな事…出来るなんて思ってなかった」 三国は江坂の唇に触れて「毅な」と注意する。もう7年くらい三国と呼んでいるのに、急には変えられない。 「それは俺もだよ。瑞希、触るとめっちゃ体固くしてたから。はじめは照れてるだけかと思ったけどずっとだったし、苦手なのかなこういうのと思って」 やはり体が硬直していたのはバレていたか。理由は全く違うものだったが。 「世の中にはプラトニックっていう人もいるし、まぁ仕方ないかと思ってた。瑞希と一緒に居られるならいっかって。もしかして嫌われてるのかな?とかも思ったけど」 「え!?ないない」 「分かってるよ。寝てたらキスしてくるし、大好きっていっぱい言ってくれるし。なんか理由あるんだろうなとは思ってた。いつか話してくれるかなって。」 「き…気づいてたのか?」 「そりゃ…気づくでしょ」 あの秘密の口付けは見事にバレていた。届けと思っていた大好きは届いていたのか。恥ずかしくて顔を赤くする。 「まさか、付き合ってないと思ってたとは思いもしなかったけど」 「うぅ…ごめん」 少し刺々しくいう三国の言葉に江坂は素直に謝った。あの時、江坂はちゃんと恋愛として好きと言ってくれていたのに。勘違いしていたのは自分だ。 「だって。あんな笑顔で答えられるって思ってなかった。友達から恋愛感情で好きって言われたら普通焦るとか、驚くとかさ」 「初めてキスされた時は流石に焦ったけど」 「え…はじめて?」 「あれも…酔って寝ていた時だったかな?」 思い返して気づいた。それは三国への好きが恋愛感情だと確信した時のキスだ。 「あっ…あれも起きてた!?」 「それで目を覚ましたって感じ。あれ?江坂とキス?みたいな」 江坂は恥ずかしくて口をパクパクとして言葉が出なかった。 「たしかに焦ったけど、不思議と嫌な気持ちはなくて。むしろどんどん意識してしまって…告白しようかと思ってたら瑞希が言ってくれたから。嬉しかった」 あの笑顔は本当の笑顔だったのか。 嬉しかったり恥ずかしかったりで真っ赤になる顔を隠すように三国に抱きついた。 「それが、付き合ってないとか普通思うか!?最近なんか悩んでる顔してるなぁと思っていたけど。言えよ次からは!なんでも」 「ごめん。なんでも言うよ」 申し訳なさそうに三国を見るとすぐ近くに三国の顔があって、起きている時にそんな至近距離から見つめることなどなかったから焦ってフリーズしてしまった。 三国はまたキスをした。江坂の髪を撫でながら、何度も。深くなる口付けの間、江坂は三国はこんなキスの仕方をするのかと三国の知らない一面を見れたようで嬉しくって、もっとと強請る。 「んん…っ」 「瑞希…」 「なに…?」 「今日、急には入れれないと思うから…せめて一緒にいきたいんだけど…いいか?」 三国の指は江坂の熱くなっているそこをズボンの上から撫でた。その感触に「はぁ…」と吐息を漏らしながら、江坂は頷いた。 「ふふ。今日の瑞希なら何言ってもOK貰えそう」 先程から何度も頷く江坂を見て、三国は笑いながら言った。 「いいよ、今日は。最高に幸せだから」 「あぁ…俺も」 ズボン上から優しく撫でる三国の手つきに「んんっ…」と三国の肩に顔を埋めた。 直接触って欲しくてズボンと下着を一緒に脱いだ。跳ね出るようにそれが顔を出し、三国に触って欲しそうに蜜を垂らしている。その様子を見て、三国はごくりと生唾を飲んだ。まじまじと江坂の裸を見るのは初めてだったからだ。 「お前も脱げよ」 と言われ、江坂にシャツのボタンを外されれば、脱がない訳にもいかない。三国も着ていたものは全て脱ぎ捨てて、お互い生まれたままの姿で抱き合った。はじめて感じるお互いの肌の感触。二の腕、腹筋、背中…気持ちよくて何度も触れた。そして、触れられた方もまた気持ちいい。 「毅…」 「ん?」 「毅のも一緒に…」 江坂は三国の太腿を跨いで、二人の陰部が触れる位置まで近づいた。江坂の滑らかな太腿の感触と、くねる腰に三国は己のものが更に熱くなるのを感じる。ピタリとお互いのそこが触れると熱くて、血液がそこに集中しているような不思議な感覚だ。 「ヤバい…」 「熱い」 それが快感のあまり語彙力を失った互いの感想だった。 「んんっ」 二本の竿を同時に擦ると三国の指の感触と、それの熱さ、先から出る互いの液、そして激しいキス、全てが気持ちいい。 「あっ…あっ…毅…俺もうダメかも」 そう言いながら江坂は擦るのと合わせて自分の腰も動かした。 手に合わせて動く江坂の腰と、はぁ…と漏れるお互いの息。そしてどちらのか分からない、いや二人ともの蜜が絡まって鳴る湿った音。 「はぁ……俺もヤバい」 三国の肩にうずめていた江坂の顔は、三国を捉え、キスを強請った。 舌を出して、触れるだけではない、もっと深いものを。 それに答えるように三国は江坂の舌に己の舌を絡める。息も詰まるほどの口付け。 キスの間も腰は揺れ、互いの熱を分け合うように擦りつけた。 「毅…んっあ!…ああぁ!」 キスの間に漏れる嬌声に唾液の糸が互いの間を繋ぐ。 「んっあっ…ごう…ごう…もう…あああぁ!」 「くっ…」 激しく擦ってついに二人同時に果ててしまった。 「はぁ…毅」 熱っぽい体はまだ興奮から抜けきっていなくて己のものか三国のものか分からない液で汚れたものはビクビクとまだ熱を含んでいるようだった。 「…瑞希。一緒にシャワー浴びようか」 三国からの嬉しいお誘いに江坂はすぐに了承したのだ。 結局その後、シャワーを浴びながらももう一度抜きあった二人は疲れた様子でばたりとベッドに倒れ込み、しばらく寝た。

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