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第31話 独占欲(1)

 彼の腕の中は心地がよかった。すべてを忘れさせてくれるような、甘やかな夢の中にいるようだ。  彼の手は優しく、時として激しく、心も身体もとろかしていく。それがまた堪らないほどの快楽を呼んで、頭が惚けてしまいそうになる。  繋がった部分は熱くて、リュウの硬く張り詰めたものを抜き挿しされるたびに、入り口はじりじりとした熱をさらに高めていく。  押し広げられ、奥へと突き上げられる感覚が身体を震わせる。 「はぁっ、あ、ぅんっ」  あられもなく開いた足は、誘い込むようにリュウの腰を絡め取る。引き寄せるように力を込めれば、彼は腰を動かし小さな孔を蹂躙するかのように、激しく挿入を繰り返す。  跳ね上がる身体は、大きな両手に腰を鷲掴みされ、少しでも離れることは許さないと、言われているかのようだ。  自分を見下ろす茶水晶の瞳は、いつも見せる無垢なものではなく。熱を孕み、獲物を捕食する雄の目をしている。  その目をまっすぐに見つめると、身体がぶるりと震えた。 「ん、ぁっあっ、いい、リュウ」  身体を繋げてすぐに気がついた。彼は男を抱くのは初めてじゃない。的確に弱い部分を攻め立て、どうすれば男の身体が悦ぶのかを知っている。  けれどいまは、そんなことはどうでもよかった。  すべてを忘れさせてくれるのなら、いまは彼がなんであろうと構わないのだ。 「宏武、可愛い」 「リュウ、ぁっ、もっと」  貪るように抱かれる。尻穴で泡立つ、ローションがぐちゃぐちゃと音を立てるのも、肌と肌がぶつかり合う乾いた音がするのも、いまは興奮を煽るものにしかならない。  まるでお互い獣のようだと思った。快楽にだけ従順でその虜になっている。  ベッドに沈んだ身体を持ち上げられ、膝の上に載せられた。身体の重心が下がり、繋がりがいっそう深くなった。  下から何度も突き上げられる感覚に、打ち上げられた魚のように、身体をびくびくとさせる。  気持ちがよくて、頭の中はもう飽和状態だ。それでも胸でとがる、小さな粒にかじり付かれると、快感が押し寄せて目の前にある頭にしがみついてしまう。  少し痛いくらいに歯を立て、乳首を引っ張られた。

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