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3―1
「イチさん、イーチーさんってば」
数分前までバラエティー番組を見ながらガハガハ笑っていたと思ったら、缶ビールを一本飲み干したところで急に静かになった。ソファーの反対端を見やれば、背もたれにぐたりと体を預けた逸也は、薄く口を開いて熟睡していた。
「見かけによらず酒に弱いのか、この人は?」
日向が手からこぼれ落ちそうになっていた缶を取り上げると、逸也の体がぐらりと揺れた。
「うわっ、ちょっとイチさんっ」
傾いた逸也の上半身にずっしりともたれかかられて、日向は身動きが取れなくなる。ほっそりとして見えるが筋肉のせいなのか、とても重い。
膝枕状態で眠る逸也を見下ろすと日向はため息をついた。
男らしく斜めに上がった眉毛と少し下がり気味な目元のバランスが甘辛く魅力的で、しっかり通った鼻筋と少し肉厚な唇は大人っぽくて色っぽい。仕事中はタオルで隠れている艶やかなクセ毛に触れると、意外にも指に絡みつくような柔らかさだった。
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