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小学校の低学年の頃だったか。友達の家に遊びに行くと、出迎えてくれたお母さんが友達とそっくりな顔をしていて、一緒に遊んでとまとわりついてきた弟もそっくりだった。驚く日向に友達は「ちがつながってるからだよ」と言う。「ち」ってあの指を切ったりすると出てくる「血」のことなのか? 繋がってるって?
施設に帰って先生に尋ねると「親子」について話してくれた。自分にも「血が繋がった」お母さんとお父さんがいて、その人たちは自分とそっくりなんだろうか。家族とか親子って関係にやはりピンとこない。
でも友達のお母さんはやさしくて、弟はかわいくて。おうちは広くてひとりにひとつの部屋があって、台所に続く部屋にはふわふわしたソファがあって、手作りのおやつは美味しくて。血の繋がった家族がいれば自分もこんなふうに暮らしていたのかなぁと日向は想像してみる。
考え込む日向に先生は少し困った顔をして「日向くんも大人になれば好きな人ができて、その人をお嫁さんをもらってお父さんになるんだよ。そうしたら血が繋がった家族ができるからね」そう言った。
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