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 店を継いでから三年。トキタの味を守ろうと脇目もふらず必死で惣菜と取り組んで、なんとか店の看板に泥を塗ることなく過ごしてきた毎日を振り返れば充実していたと言えるけれど、こうやって日向と他愛なくじゃれたりするとやはりなにか足りずにいたんだと実感する。  つまり、日向がいる今がとても楽しいということだ。  無口で無愛想だけど店先に立てばおばちゃん連中にいじられながらもそつなく接客をこなす日向は、包丁を握らせれば無駄なく仕込みもこなしてくれる。チラシの裏を笑うことなくポイント三倍に喜ぶ価値観も一緒だ。 「これでセックスしたら完全に嫁だな」  うっかり独りごつ自分に鳥肌を立てて、逸也は慌ててタバコを捻り消した。  嫁って! なんだそりゃ!

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