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「日向?」  怪訝そうに見つめる瞳に、日向は取り繕うよう地図アプリを起動させると逸也の目の前に掲げて見せた。 「ドラッグストア・ヤオイダあけぼの店、セット完了」 「お、おう」 「それじゃ、いってきます」  逸也の脇をすり抜けて階下へ降りようとした腕を、ぐいっと掴まれてつんのめりそうになる。 「なんなんですか?」 「あ、いや。……なにか大事な連絡とかがあったなら、それ済ませてからでいいんだぞ?」  気遣わしげな逸也の態度に、一瞬すべてを話してしまいたくなる。胸の奥の苦い塊を、赤の他人の逸也に話したところでどうなるわけでもないのだけれど。  「大事な用なんてないですよ」と笑って見せたタイミングで客の来店を知らせるチャイムが鳴った。「はーい、いらっしゃいませー」と階下へ声をかけた逸也は、なにか言いたげな表情を残しながら階段を下りていった。  こわばっていた肩の力を抜いて、日向もそのあとへ続く。

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