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店先にはいつものおばちゃんたちが来ているらしく、日向の姿が見えないことにやいのやいの言う声が聞こえた。かわいがってもらえることは嬉しいが、正直あの手の賑やかな人たちは苦手だったりする。
肩をすくめてスニーカーに足を入れたところで逸也がうまく話題を方向転換してくれて、日向はそっとドアに手をかけた。見つからないようにうまく脱出しなくては。
「そういえば塚田のおばあちゃん、腰なおりました?」
「あらやだー、トキタのおでんが始まったって教えてあげたら喜んでたのに。まだ買いにこないの?」
そんな会話から静かに離れ、財布を握りしめた日向はコソ泥よろしくトキタ惣菜店をあとにした。
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