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 朝、目が覚めると「今日はまだここで働けるんだろうか」と不安になる。逸也の様子を伺いながらその話を切り出されることにビクビクする連続だった。  期限つきの住み込みなんだから、いっそ自分から出ていけば気持ちは楽なのかと思いつつ、日向はこの仕事を、トキタ惣菜店を好きになっていた。何よりも逸也のことを。  ついにそのときが来たことに、日向はきつく唇を結んで動けずにいる。 「中身、確認してくれ」  逸也に促され、震えそうになるのをなんとか抑えて封筒を手に取った。領収書一枚にしては厚みがあるような気がする。 「え?」  出てきた数枚の一万円札に日向が驚く顔をしていると、逸也はタバコとライターを手元に引き寄せてカチリと鳴らす。 「イチさん、これ、意味わかんないです。なんで金が入ってんの? もらうんじゃなくて払わなきゃいけないのに」 「労働には賃金が発生するもんだ。ガラス代はさぁ、まぁあれだ。ウチも古くなっちゃって油汚れとか? まぁ換え時だったしさ。日向、すげぇ働いてくれたし、いっかなーって」 「いや、よくないでしょ! ていうか、それでも多いし!」 「あー、それな、今月末までの分な。前払いってやつ?」  絶句する日向に逸也はニカーッと満面の笑みを見せ、タバコの火を消すと指を組み前へ乗り出してくる。 「な、なに?」

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