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「さて、ということで、津村日向くん。今日から君はトキタ惣菜店の正式な従業員だ。おめでとう」  突然のことに目が点になったままでいる日向に、逸也は鼻の横をチョイチョイっとかくと照れくさそうな顔をする。 「まぁな、封筒の中身を見てもらえばわかるだろうけど、たいした給料は払えない萎びた店だし、日向がほかに行くところやしたい仕事があるなら無理強いはしねぇけどさ」 「い、いいんですか……俺なんて雇って。どこの馬の骨ともわからないやつなのに……」 「馬じゃねぇことは数日一緒にいてよーくわかってる。骨っつうのはなぁ、お前、ほねほねしてるしなぁ。おじさんそこは心配してる」 「……ふざけてるでしょ」 「ふざけてねぇよ。人手はほしいんだよ。いろいろやりたいこともあるしさ。んで、日向は調理経験者で住所不定無職ときた。あらら、これってウィン・ウィンっていうんじゃないの?」 「イチさん……」  口調はふざけているけど表情が優しい。

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