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6―1
「ふおー、頭が重い……。飲みすぎた」
翌日はトキタ惣菜店週に一度の定休日で、それでも悲しいかな習慣はいつもの時間に逸也を目覚めさせた。大きくのびをしてから半身を起こしてギョッとする。
「なんで裸っ?」
むき出しの二の腕をさすりながら夕べのことを思い出し、逸也は頭を抱えた。
日向がトキタにいてくれることになったのが嬉しくて。馴染みの店に連れていけたことが楽しくて。帰り道に見つけたつやつや髪の真ん中にちょこんとあるつむじが可愛くて。ひと回りも年の違う日向にベタベタと甘えてしまった。
なんていうか、構いたくなってしまうのだ。ツンと澄ました小型犬のような顔が、逸也の冗談に笑ったり怒ったりするのを見たくなってしまうのだ。
「だからって、まさかっ?」
掛け布団をめくりあげて下半身を確認すれば、スーパーマグナムはおとなしくボクサーパンツに収まっている。
「……だよなぁ。いくらなんでも、なぁ」
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