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「丁稚奉公じゃないんだからさ、休みの日ぐらいはそんなことしなくていいんだぞ。あ、それともうちってアレ? ほかの家に比べて汚れてんの? 住んでるとわからん汚れとか臭いとかあんの?」 「そんなんじゃないってば」  そう、そんな理由で家中を磨いたわけではないのだ。  今朝、天気がいいからと逸也の部屋のシーツやカバー類を洗濯しようとした日向だが。ベッドを目にしたとたん、夕べの鍛えられた半裸を思い出して胸が大きくざわついた。回された腕の力強さや体温の記憶が、こころ以上に下半身をざわめかせた。  で、枕を抱きながら自慰に励んでしまった日向だった。  妄想のなかで逸也に抱かれ、溜まった熱を放出したあとひどい自己嫌悪に陥った日向は、煩悩を払うようにせっせと窓や床を磨いたわけで。 「まぁ、すげえ助かるんだけどさ。あんま無理すんな」  日向の胸のうちなど知るよしもない逸也に、こころの中で謝りながらうつむいて鍋を見つめた。

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