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「イーッちゃーん」  駅に向かって商店街をプラプラ歩いていると、前方からふわふわした塊が二個、転がるように突進してくる。 「イーッたーん」  逸也の長い脚に飛び付くようにぶつかってきたのは、まあるい瞳をキラキラさせたチビッ子たちだった。 「おー、大地と空也ー」  キャンキャン絡まりつくチビッ子の頭をワシャワシャかき混ぜる逸也の目尻が、これでもかってほど緩く下がっている。その向こうから、大きく突きだしたお腹をかばうように歩いてくるのはこの子たちの母親だろうか。 「こら、ダイちゃんクウちゃん、こんにちはは?」  クリクリした目がそっくりな兄弟とこれまたよく似た顔立ちの女性は、ようやく子供たちに追いつくと「ふぅ」と笑った。 「イッちゃん久しぶり」 「おう、最近買いに来ないけど、体調よくないのか?」 「違う違う。そろそろ産休しなさいってお義母さんが言ってくれたから、真面目にごはん作ってんの」

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