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 女に生まれていれば。子どもが生めたら。そんなバカなことを思って気持ちはどんよりと沈んでいく。 「ひなた?」  黙りこむ日向へ、逸也が覗くように顔を寄せてくる。慌てて毛布を頭からかぶった。 「まだ眠い。から、もう少し寝ます」 「どっか具合でも悪いのか?」  毛布の上から優しく背中をさすられると、小さな子どもや妊婦の幸恵に嫉妬する醜い心が伝わってしまいそうで怖い。 「早起きしたから……。もう少しだけ寝たら起きますから」 「いいさ、休みなんだし好きなだけゴロゴロしてろよ。俺はちょっと出掛けてくるから。帰ってきたら晩めし作るな」  「どこへ?」と聞きたかったが、口を開く前に逸也が立ち上がる気配がして、やがて裏口から冷たい風がヒュルリと入ってきた。パタンとドアが閉まる音に、こらえていた雫がコロンとこぼれた。

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