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「イチさんのせいじゃない」  いつかしてもらったように、頭を抱えて引き寄せた。肩に乗ったぬくもりをやわやわと撫でながら何度も言った。 「誰のせいでもない。だからイチさんのせいじゃない」 「……うん」 「イチさんが気づいたから塚田さんは病院に運んでもらえたんです。亡くなってしまったのは本当に残念だけど、でもイチさんに看取ってもらえた。孤独死じゃなかった」 「日向……」  腰に回された腕の震えがおさまるまで、日向は逸也の背中をさすり続けた。  部屋はほどよく暖まっていて、ハヤシライスはいい香りがして、けれども悲しい夜だった。

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