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「だよなぁ。でも俺も男で、お前は俺を好きなんだろ? だったら俺が血迷ってないってわかるだろ?」 「だって……イチさんは結婚してたこともあって、ゲイじゃないじゃないですか」 「理屈や理由はわかんねぇけどさ、気づいたら俺もお前のこと好きだったらしいんだなぁ。見ろ、この姿を」  密着させていた体を少し離して、視線でパンツ一丁の下半身を指す。 「お前のやらしい姿で抜こうとしていた俺も、お前と同じだろ?」 「ふ、ふざけないでくださいっ」 「本気だし」  うつむいたままの細い顎を持ち上げて、なにか言われる前に唇を奪った。逸らそうとするから両手で頬を包んで逃さない。 「……っん」  固く結ばれた唇を舌でなぞり、誘うようについばんだ。数度繰り返して少し開いた隙間から舌先を侵入させると、日向の肩から力が抜けていく。 「ひなた、好きだよ」  唇を触れあわせたままささやけば、日向はおずおずと逸也の背中に腕を回してきた。

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