101 / 191
9―3
「買い物済ませたらマッハで帰ってきますから」
正面に向き直ってほっぺたをムニムニしてやると、「うん」と照れたような顔をするのが、ひとまわりも年上なのに反則的に可愛らしくてずるい。だから背伸びして唇にチュンといってきますの挨拶をした。
「……っん!」
すかさず腰をガッチリと固定され、挨拶どころでない熱いキスを返されたらたまらない。ムズムズと熱を持ちそうな下半身に焦って、逸也の胸を強く押し返した。
「もうっ、昼間っから、しかも営業中になんてことすんだ」
「従業員ふたりきりの特権だぜ」
どや顔で言い放つ逸也を放って靴をはいた。心臓はまだ少し早鐘を打っている。口のなかに残る逸也の感触が幸せだった。
ともだちにシェアしよう!