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 自転車を押して表へ回ると、隣の薬局のおばさんと勝田さんが白い営業車らしきバンを見送っている。都心ナンバーのその車が走り去ったとたん、マシンガントークが始まった。 「いやー、男前だったわねぇ」 「ねぇえ、トキタのイッちゃんも男前だけど、いい勝負じゃない?」  逸也の名前が出てきたことにふと顔をあげると、めざとく日向を見つけた勝田さんに捕まった。 「あら、ヒナちゃん、おでかけ?」 「はぁ、ちょっと買い出しへ。あの……、逸也さんの名前が聞こえたんですけど……」 「ああ、そうなの。今ねホームセキュリティの営業マンが来たんだけど、それが男前で」  「ねえぇ」と双子のように顔を見合わせるおばちゃんたちの様子に、いくつになっても女性ってイケメンが好きな女子高生みたいだと日向は心のなかで苦笑した。 「ほら、ここの商店街って防犯カメラもついていないでしょう。だから個人で対策しないと危険なんですって」

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