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「はあ、よっこいしょ。ヒナちゃん、こんにちは。メンチある? あとおでんね」
真面目に家事してると言っていた幸恵だったが、三日に一度はトキタの惣菜を買ってくれている。「お腹が邪魔で包丁握れないんだもん」なんて言葉を何回も聞いている気がした。
「おれはメンチとマカロニのやつ!」
「クウちゃんもマカロニのやつとハンペンのやつとホットケーキのやつ」
「やあねぇ、クウちゃん。ホットケーキは売り物じゃないのよ」
吉岡家にお呼ばれした際、おやつに焼いてやったホットケーキをふたりとも喜んで食べてくれて、それ以来空也のなかで日向は『ホットケーキのおにいちゃん』なんだそうだ。
「ホットケーキはまた今度、おうちに遊びに行ったときに焼いてあげるね」
「じゃあいつくる? これからくる?」
無邪気な兄弟に苦笑しながら、こんな子どもにまで嫉妬していた自分を殴りたい。メンチカツの衣に包んで揚げてしまいたい。
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