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驚いて心配そうに駆け寄ってきた逸也の後ろから、涼しげな目元に肉食獣が獲物を見つけたときの獰猛さを浮かべた顔が覗いている。
「だ、大丈夫です。すみません」
ボウルを片付ける体で向けた背中へ、知らずにいれば柔らかくて優しげな声が当たった。
「あれ、もしかして君、津村日向くん?」
「え? 知り合いなのか、日向?」
ギクリと揺れた肩に気づかなかったのか、逸也の声はのんきで明るい。高見沢に名前を呼ばれてしまい、人違いとごまかすには無理がありそうで、日向は仕方なくふたりのほうへ向き直った。
「やあ、久しぶりだな。元気だったのかい?」
「……ええ、まあ」
「あ、僕は日向くんが働いていたレストランによく通っていたんですよ。急に辞めてしまったからどうしたのかと思っていたんですが。こんなところで会えるなんて思ってもみなかったなぁ。今はここで働いているのかい?」
「……はい」
あまりギクシャクした態度をとると逸也が訝しむと思い、なんとか笑顔を作ってみてもぎこちなさは消えてくれない。
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