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「ただ寝るだけ?」  上目で掬い上げるよう見つめてくる男前に唇を寄せて、「寝る前にすることがたくさんありますけど」と囁いた。自分の尻の下でムクムクと嵩を増してくる雄が愛おしい。  開いた唇から侵入してきた舌が、性急に口内をとろけさせようとする。逸也のキスはいつも情熱的で、それだけで達してしまいそうになるのに。 「……ん、ぁ」  背中を撫でていた手のひらが脇腹を伝っておりてきて、日向のスウェットへ忍び込んだ。先端の丸みをそっと撫でたあと包むように握られて腰が跳ねそうになる。上下する手のひらを押し止めてから、唇を合わせたまま「ベッドに行きたい」とねだった。 「いいのか?」 「いい。……イチさんが、ほしいから」 「そんなこと言われたら手加減できねぇぞ? 明日、休みじゃないのに挿れたくなるだろが」  中心から離れた手のひらに臀部の丸みを捏ねるよう揉まれたら、電気を流されたように背筋へビリビリとした官能が走った。 「手加減なんか……いらない、から。……しよ?」

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