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「あ、っあ、……ぅ」  逸也の指で丁寧に開かれた場所に脈打つ雄がすべて埋め込まれ、ゆっくりと様子を伺うように揺らされる。少し焦れったいくらい緩慢な動きに、日向はみずから腰を振って逸也を締め付けた。 「あ、お前……そんな急に動いて、ぅ……、傷でもついたら」 「へいき……。だから、もっとして。俺、壊れたりしない、から、もっと」  下肢で繋がるのは苦手だった。いつも強引にこじ開けられて快感を追う余裕もなくて。けれども未経験だった日向にとって、どこか不自然に繋がらざるを得ない男同士のセックスとは、そういうものだと思っていた。  奪うように日向を求める高見沢とは違う、『与えられるセックス』の気持ちよさを逸也は教えてくれる。 「あ、イチさ、……っあ、あ、あ」  スピードを増した抽挿に、意識が遠くへ持っていかれる。どんどん白くなっていく頭のなかに、仮面のような笑顔がちらついた。

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